「同じプレゼンファイルで役員向けには経営概要の5枚だけ、現場担当者向けには全20枚を発表したい」「本番では見せたくない検討中スライドを一時的に外したいが、削除はしたくない」——こうした場面で活躍するのが「スライド非表示」と「カスタムスライドショー」の2機能です。どちらもPowerPowerPoint標準機能ですが、使い方を知らないまま「発表用コピーを別ファイルで作る」という手間のかかる運用を続けているケースも多く見られます。
スライド非表示は特定のスライドをスライドショーの進行から除外する機能で、ファイルからスライドを削除せずに表示対象から外せます。カスタムスライドショーは1つのプレゼンテーションファイルの中から特定のスライドだけを選んで名前付きで登録したサブセット定義で、「営業部向け」「技術部向け」「役員向け」といった複数の発表パターンを同一ファイル内に保持し、発表直前にメニューから切り替えて実行できます。
本記事では、スライド非表示の設定手順、カスタムスライドショーの作成・編集・実行方法、実務活用シナリオ、MOS PowerPoint 365試験での出題ポイントまで体系的に解説します。
スライド非表示とカスタムスライドショーの違いを整理する
2つの機能は目的が異なります。用途に応じて使い分けるか、組み合わせて使うことでより柔軟な発表管理が可能になります。
| 機能 | 動作 | 主な用途 | 管理単位 |
|---|---|---|---|
| スライド非表示 | 指定スライドをスライドショーの進行から除外する | 下書き・参考資料・予備スライドを本番から一時的に外す | スライド単位のON/OFF |
| カスタムスライドショー | 使用するスライドの組み合わせと順序を名前付きセットとして定義する | 対象者・目的別に発表バリエーションを同一ファイルで使い分ける | セット単位(複数登録可) |
2つは組み合わせて使えます。例えば「全スライドのうち特定スライドを非表示にした上で、カスタムスライドショーでさらに絞り込む」という多段階フィルタリングも可能です。どちらも[スライドショー]タブからアクセスできます。
スライドを非表示に設定する手順
スライド非表示は、本番で見せたくないスライドをスライドショーの流れから除外する最もシンプルな方法です。スライド自体はファイルに残り、いつでも再表示できます。
ステップ1:対象スライドを選択する
スライドパネル(左側のスライド一覧)で、非表示にしたいスライドをクリックして選択します。連続する複数枚はShiftキーを押しながらクリック、離れた複数枚はCtrlキーを押しながらクリックで選択できます。
ステップ2:非表示に設定する
選択したスライドを右クリックし、コンテキストメニューから「スライドを非表示にする」をクリックします。または[スライドショー]タブ→[設定]グループ→[スライドの非表示]ボタンをクリックしても同様に設定できます。
非表示になったスライドの見た目
スライドパネルで非表示に設定されたスライドは、スライド番号が斜線付きで表示されます(スライド番号の数字が斜線で囲まれた状態になります)。スライド自体の内容は変わらず、通常通り編集できます。スライドショーを実行すると、非表示スライドは自動的にスキップされます。
| 状態 | スライドパネルの表示 | スライドショーでの動作 | 編集の可否 |
|---|---|---|---|
| 通常表示 | スライド番号が通常表示 | スライドショーで表示される | 可能 |
| 非表示設定済み | スライド番号に斜線 | 自動的にスキップされる | 可能(内容は保持) |
ステップ3:非表示を解除する
非表示を解除するには、対象スライドを右クリックして「スライドを非表示にする」をもう一度クリックします(トグル操作)。または[スライドショー]タブ→[スライドの非表示]ボタンをクリックします。このボタンが強調表示されているときは非表示状態、通常表示のときは表示状態を示しています。
カスタムスライドショーを作成する手順
カスタムスライドショーでは、使用するスライドの一覧と再生順序を名前付きセットとして登録できます。1つのファイルに複数のセットを保存でき、発表直前に切り替えるだけで対象者別の発表ができます。
ステップ1:カスタムスライドショーダイアログを開く
[スライドショー]タブ→[スライドショーの開始]グループ→[カスタムスライドショー]ボタンのドロップダウン矢印をクリックし、「カスタムスライドショー…」を選択します。末尾に「…」が付いているのがダイアログを開くメニュー項目です(名前だけの項目をクリックするとそのまま実行が始まります)。「カスタムスライドショー」ダイアログが表示されます。
ステップ2:新しいカスタムスライドショーを作成する
[新規作成]ボタンをクリックすると「スライドショーの定義」ダイアログが開きます。上部の「スライドショー名」欄に、発表対象や目的を表す名前を入力します(例:「営業部向け(10枚版)」「役員向け(概要5枚)」「技術部向け(全20枚)」)。
ステップ3:使用するスライドを追加する
左側「プレゼンテーション内のスライド」一覧に全スライドが番号付きで表示されています。右側「カスタムスライドショーのスライド」がこの定義に使用するスライドの一覧です。左側で使用するスライドを選択し(Ctrlキーで複数選択可)、[追加]ボタンをクリックします。追加した順番が再生順序になります。オリジナルファイルとは異なる順番で再生したい場合は、追加する順番を変えるか、追加後に順序を変更します。
ステップ4:再生順序を調整する
右側の一覧でスライドを選択し、ダイアログ右端の▲(上へ移動)または▼(下へ移動)ボタンで順序を入れ替えます。不要なスライドを削除したい場合は右側の一覧で選択して[削除]ボタンをクリックします(元ファイルのスライドは削除されません)。
ステップ5:確定して保存する
[OK]をクリックして「スライドショーの定義」ダイアログを閉じます。「カスタムスライドショー」ダイアログに作成したセット名が表示されていることを確認し、[閉じる]をクリックします。これで定義がファイルに保存されます。
| 操作 | ダイアログ上の手順 |
|---|---|
| スライドを追加 | 左リストで選択→[追加]ボタン |
| スライドを削除(定義から外す) | 右リストで選択→[削除]ボタン |
| 再生順序を変更 | 右リストで選択→▲または▼ |
| セット名を変更 | 「カスタムスライドショー」ダイアログ→[編集] |
| セットを複製 | 「カスタムスライドショー」ダイアログ→[コピー] |
| セットを削除 | 「カスタムスライドショー」ダイアログ→[削除] |
カスタムスライドショーを実行する
方法1:スライドショーメニューから直接実行
[スライドショー]タブ→[カスタムスライドショー]ドロップダウンをクリックすると、登録済みのカスタムスライドショー名が一覧表示されます。実行したいセット名をクリックするとスライドショーが即座に開始します。発表直前の素早い切り替えに最適な手順です。
方法2:スライドショーの設定でデフォルトを指定する
[スライドショー]タブ→[スライドショーの設定]ダイアログを開き、「スライドの表示」セクションで「カスタムスライドショー」を選択してドロップダウンから使用するセット名を指定します。以後はF5キーでスライドショーを開始すると常にこのカスタムセットが実行されます。発表前にデフォルトを固定しておきたい場合に使います。
方法3:スライドショー中に切り替える
スライドショー実行中に右クリックすると「カスタムスライドショー」メニューが表示され、別のカスタムスライドショーへリアルタイムで切り替えることができます。1つの発表の中で途中から対象者に合わせた内容に切り替える運用に役立ちます。
スライドショーの設定オプション
[スライドショー]タブ→[スライドショーの設定]ダイアログには、カスタムスライドショーと組み合わせて使える詳細設定が集まっています。
| 設定項目 | 内容 | 実務での使い方 |
|---|---|---|
| 発表者として進める | 発表者が手動で進行、発表者ツール使用可 | 対面プレゼンの標準設定 |
| 出展ブースのように閲覧する | 全画面でループ再生、Escキーで終了 | 展示会・受付での無人自動展示 |
| 個人で閲覧する | ウィンドウ表示で閲覧操作 | ファイルを送付して自己閲覧させる場合 |
| カスタムスライドショーを使用 | 登録済みのカスタムスライドショーをF5実行時のデフォルトに設定 | 対象者別バリエーションの固定 |
| ナレーション・アニメーションなしで実行 | 録音済み音声とアニメーションを無効化 | デモ・印刷と同じ状態でレビューする場合 |
| スライドショーのループ | Escが押されるまで繰り返し再生 | 展示・待合室での無人上映 |
実務活用シナリオ
シナリオ1:同一資料を役員向けと担当者向けで使い分ける
営業会議用の20枚スライドで、役員向けには「経営サマリー・KPI・次期施策」の8枚だけ、現場担当者向けには全20枚を発表するケース。カスタムスライドショーを「役員向け(8枚)」「全員向け(20枚)」として登録しておけば、発表直前に選択するだけです。スライドをコピーしてファイルを分ける手間がなく、内容更新も1ファイルで完結します。
シナリオ2:本番前に未完成スライドを一時除外する
資料の一部が審査中・修正中の場合、該当スライドを非表示に設定することで発表には含めずにファイルに残しておけます。審査通過後は非表示を解除するだけで次回から発表に含まれます。「差し替え用コピー」を管理する必要がなくなります。
シナリオ3:質疑応答用の補足スライドを非表示で保持する
本番スライドショーには含めないが、質疑応答で詳細データを求められたときに使う補足スライドを非表示で用意しておく運用ができます。スライドショー中に右クリック→「すべてのスライドを表示」からスライド一覧を開くと、非表示スライドを含む全スライドが表示されるため、その場で直接ジャンプして見せることができます。
シナリオ4:展示会での自動ループ展示
製品紹介スライド10枚のカスタムスライドショーを「展示用」として登録し、スライドショーの設定で「出展ブースのように閲覧する(ループ再生)」に設定します。担当者不在でもPCで自動展示を継続させることができます。全スライドの中から展示に使う枚数だけを選んだカスタムスライドショーを使うため、管理用スライドが混入しません。
MOS PowerPoint 365試験での出題ポイント
MOS PowerPoint 365試験では「スライドショーとプレゼンテーションの実行」の出題範囲にスライド非表示とカスタムスライドショーが含まれます。手順そのものはシンプルですが、ダイアログの名称と操作のタブ位置を正確に覚えることが得点のカギです。出題範囲に含まれることは公表されていますが、分野別の出題数・配点は公表されていません。
試験に出やすい操作一覧
| 出題カテゴリ | 具体的な操作 | 押さえるポイント |
|---|---|---|
| スライドの非表示設定 | 指定スライドを非表示に設定する | 右クリック→「スライドを非表示にする」または[スライドショー]タブ→[スライドの非表示]。[表示]タブではない |
| 非表示の解除 | 非表示スライドを再表示させる | 同じ操作を再度クリックするトグル操作。スライドパネルの斜線表示で非表示状態を確認できる |
| カスタムスライドショーの作成 | 指定スライドを含むカスタムスライドショーを登録する | [スライドショー]タブ→[カスタムスライドショー]→「カスタムスライドショー…」→[新規作成]→スライドを選択して[追加] |
| カスタムスライドショーの実行 | 登録済みのカスタムスライドショーを実行する | [スライドショー]タブ→[カスタムスライドショー]ドロップダウン→セット名をクリック |
| スライドショーの設定 | カスタムスライドショーをデフォルト実行に設定する | [スライドショーの設定]→「カスタムスライドショーを使用」でセット名を指定 |
試験での頻出ミスと対策
| 頻出ミス | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 非表示設定のメニューが見つからない | [表示]タブや[ホーム]タブを探してしまう | 非表示設定は[スライドショー]タブにある。右クリックコンテキストメニューからも設定できる |
| カスタムスライドショーのダイアログが開けない | [カスタムスライドショー]のドロップダウンで、セット名(即実行)を押してしまう | 末尾に「…」が付いた「カスタムスライドショー…」を選ぶとダイアログが開く |
| スライドを追加した後に順序を変更し忘れる | [追加]ボタンだけで完了と思い込む | 右側リストの▲▼ボタンで順序を調整する手順も試験範囲に含まれる |
| 定義が保存されない | 「スライドショーの定義」ダイアログで[OK]後、「カスタムスライドショー」ダイアログを×で閉じた | [閉じる]ボタンで明示的に閉じることで定義がファイルに確実に保存される |
MOS試験対策の練習方法
5~10枚のスライドを用意して次の操作を繰り返すのが効果的です。①特定スライドを非表示に設定してスライドショーを実行し、スキップされることを確認する→②非表示を解除して再確認する→③カスタムスライドショー「バリエーションA」(奇数スライドのみ)と「バリエーションB」(偶数スライドのみ)を作成する→④各カスタムスライドショーをメニューから実行して正しいスライドだけが再生されることを確認する。「[スライドショー]タブから全ての操作にアクセスできる」という共通点を意識すると迷わなくなります。試験時間50分・1000点満点(合格点は非公開、550点~850点が目安とされています)を踏まえ、手順を迷わず実行できる速度を目指してください。
よくあるトラブルと対処法
| トラブル | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 非表示にしたはずのスライドが再生される | [スライドショーの設定]でスライドの範囲を手動指定したため、非表示設定が優先されていない | [スライドショーの設定]→「すべてのスライド」に戻す。「すべてのスライド」を指定している場合、非表示スライドは自動的にスキップされる |
| カスタムスライドショーの定義が消えた | スライドを大幅に削除・並べ替えた後に定義が無効化された | カスタムスライドショーの定義はスライド番号に紐付く。スライドを削除すると対応スライドが定義から欠落するため、変更後に定義を確認し直す |
| スライドショー中に非表示スライドを呼び出せない | 直接ジャンプの手順を知らない | スライドショー中に右クリック→「すべてのスライドを表示」からスライド一覧を開くと、非表示スライドを含む全スライドが表示され、クリックでジャンプできる |
| カスタムスライドショーを別のPCに持ち越せない | カスタムスライドショーの定義はpptxファイル内に保存されているが、互換性を疑っている | 定義はpptxファイル自体に保存されるため、ファイルを別PCにコピーすればそのまま使える。ただし他ファイルへのコピー機能はなく、別ファイルでは手動で再作成する |
| 非表示スライドが印刷物に出てしまう | 印刷設定で「すべてのスライド」を選んでいる | 印刷ダイアログで「印刷対象」を確認する。非表示スライドは印刷範囲に含まれる設定の場合もあるため、印刷プレビューで確認してから出力する |
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MOS PowerPoint 365試験の全出題範囲を網羅した公式準拠テキスト。カスタムスライドショーの作成・実行やスライド非表示など、試験頻出のスライドショー管理操作を本番環境に近い模擬問題で確実に習得できます。
まとめ:発表バリエーションの管理はカスタムスライドショーと非表示の組み合わせで
スライド非表示とカスタムスライドショーはどちらも[スライドショー]タブからアクセスでき、組み合わせることで柔軟な発表管理が実現します。
- スライド非表示は右クリック→「スライドを非表示にする」または[スライドショー]タブ→[スライドの非表示]で設定。再度クリックで解除できるトグル操作。スライドパネルに斜線番号で状態を確認できる
- カスタムスライドショーは[スライドショー]タブ→[カスタムスライドショー]→「カスタムスライドショー…」→[新規作成]から作成。スライドを選んで[追加]し、▲▼で順序を調整してから[OK]→[閉じる]で保存
- 実行は[スライドショー]タブ→[カスタムスライドショー]ドロップダウンからセット名を選ぶだけ。発表直前の対象者切り替えが数クリックで完了する
- 実務では「役員向け・担当者向けの使い分け」「未完成スライドの一時除外」「質疑応答用補足スライドの待機」「展示会での自動ループ展示」など幅広いシナリオに応用できる
- MOS PowerPoint 365試験では「スライドショーとプレゼンテーションの実行」領域で出題される。手順は[スライドショー]タブに集約されているため、タブ位置を最初に覚えると操作がスムーズになる
次のステップとして、スライドショーのリハーサル機能で各スライドの発表時間を計測し、カスタムスライドショーごとに想定発表時間を把握しておくと、本番での時間管理がさらに精度よくなります。
