Accessで業務データベースを作成したあと、社内に配布したり別部門に引き継いだりする場面で「どのファイル形式を使えばよいか迷った」経験はないでしょうか。拡張子を間違えると、VBAコードが丸見えになる、古いAccessで開けない、テンプレートとして誤って上書きされる、といったトラブルが起きます。この記事ではACCDB・ACCDE・MDB・ACCDTの4形式の特徴と使い分け、各形式への変換手順、そしてMOS Access試験で問われるポイントを実務目線で整理します。

Accessのファイル形式が実務で問われる場面
Accessのデータベースファイルは、作業目的によって最適な形式が変わります。代表的な場面は次のとおりです。
- 社内配布・業務展開:フォームやVBAで構築した業務ツールを他部門に展開するとき。VBAソースを非公開にしたい場合はACCDE形式が適しています。
- 旧バージョン環境との共用:Access 2003以前のPCが残っている環境では、MDB形式への変換が必要になることがあります。
- テンプレートの配布:空のひな形データベースを繰り返し使ってもらう場合は、ACCDT形式が誤上書きを防ぎます。
- バックアップと長期保存:標準のACCDB形式で保存し、定期的にコンパクト修復を行うことがデータの安全な長期運用につながります。
ACCDB形式 — Accessの標準ファイル形式
ACCDB(Access DataBase)はAccess 2007以降の標準ファイル形式です。新規データベースを作成すると、既定でACCDB形式が選択されます。
ACCDBの主な特徴
- テーブル・クエリ・フォーム・レポート・マクロ・VBAモジュールをすべて1ファイルに格納
- データベースのサイズ上限は2GB
- 複数値フィールド・添付ファイルフィールド・計算フィールドに対応(MDB非対応の機能)
- SharePoint・OneDrive経由の共有に対応
- VBAソースコードはそのまま閲覧・編集が可能な状態で保存される
ACCDBが適しているケース
自分だけ、またはチームメンバーが設計を継続編集する場合はACCDBのまま運用します。開発中のデータベースや社内の限定メンバーが使うツールはACCDBが基本です。
ACCDE形式 — VBAソースを保護した配布専用形式
ACCDE(Access DataBase Executable)は、ACCDBをコンパイルしてVBAソースコードを取り除いた形式です。「業務ツールとして完成したデータベースを配布するが、内部コードは見せたくない」ときに使います。
ACCDEの特徴と制限
| 項目 | ACCDE(実行形式)での動作 |
|---|---|
| VBAソースコードの閲覧 | 不可(コードは削除されコンパイル済みバイナリのみ残る) |
| フォーム・レポートのデザイン編集 | 不可(デザインビューを開けない) |
| テーブルのデータ入力・参照 | 可 |
| クエリの実行 | 可(クエリデザインの変更は不可) |
| マクロの実行 | 可(マクロデザインの変更は不可) |
| テーブル構造の変更 | 不可 |
重要な点として、元のACCDBファイルは上書きされません。ACCDEを作成しても元のACCDBはそのまま残るため、開発者は元ファイルで変更を加え、再度ACCDEを生成して配布するサイクルで運用できます。
ACCDEファイルの作成手順
以下の手順でACCDE形式を作成します。事前に元のACCDBファイルを保存し、データベースを排他的に開いておく必要があります。
- 対象のACCDBファイルをAccessで開く
- リボンの「ファイル」タブをクリック
- 左メニューから「名前を付けて保存」を選択
- 右側の「詳細設定」にある「ACCDEの作成」をクリック
- 「ACCDEの作成」ダイアログが表示されたら保存先とファイル名を指定して「保存」
なお、「ACCDEの作成」が表示されない場合、VBAプロジェクトにパスワードが設定されているか、Access 32bit/64bitの組み合わせ不一致など、環境上の制約が原因のことがあります。ACCDBをAccessで直接開いている状態(ネットワーク共有ではなくローカルに保存した状態)で試してください。
MDB形式 — 旧バージョン互換のための形式
MDB(Microsoft DataBase)はAccess 2003以前の標準形式です。Access 2007以降でも開くことができますが、ACCDB形式に存在する一部機能が使えなくなる点に注意が必要です。
ACCDBとMDBの主な違い
| 機能 | ACCDB | MDB |
|---|---|---|
| 複数値フィールド | 対応 | 非対応 |
| 添付ファイルフィールド | 対応 | 非対応 |
| 計算フィールド(テーブル) | 対応 | 非対応 |
| SharePoint統合 | 対応 | 限定的 |
| Access 2003以前でのオープン | 非対応 | 対応 |
| ユーザーレベルセキュリティ(旧機能) | 非対応 | 対応(Access 2007での作成は不可) |
MDB形式への変換手順
ACCDB形式のデータベースをMDB形式で保存する手順は次のとおりです。ただし、ACCDBで使用しているACCDB専用機能(複数値フィールドなど)が含まれる場合は、変換時に警告が表示されるか変換に失敗します。
- ACCDBファイルをAccessで開く
- 「ファイル」タブ → 「名前を付けて保存」
- 「データベースに名前を付けて保存」から「Access 2002-2003 データベース(*.mdb)」を選択
- 保存先とファイル名を指定して「保存」
注意点として、ACCDB形式で作成したVBAコードに含まれるAccess 2007以降の組み込み関数や参照ライブラリが、MDB形式では動作しない場合があります。変換後は必ず全機能を動作確認してください。
ACCDT形式 — データベーステンプレート
ACCDT(Access DataBase Template)は、空のひな形データベースをテンプレートとして保存するための形式です。ACCDTファイルをダブルクリックすると、Accessが新しい名前でACCDB形式のコピーを作成します。テンプレート自体は上書きされないため、複数人が同じ構造のデータベースを作り始める場面で便利です。
ACCDTの作成手順
- ひな形となるACCDBファイルをAccessで開く
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」→「テンプレート(*.accdt)」を選択
- テンプレート名・説明・カテゴリを入力して「OK」
形式別比較表(まとめ)
| 形式 | 拡張子 | 主な用途 | VBA編集 | デザイン編集 |
|---|---|---|---|---|
| ACCDB | .accdb | 標準開発・日常運用 | 可 | 可 |
| ACCDE | .accde | 完成品の社外・他部門配布 | 不可 | 不可 |
| MDB | .mdb | Access 2003以前との互換 | 可 | 可 |
| ACCDT | .accdt | ひな形テンプレートの配布 | 可(コピー後) | 可(コピー後) |
ファイル形式の選択フロー
次の順序で考えると判断しやすくなります。
- 旧バージョン(Access 2003以前)との互換が必要か? → 必要ならMDB形式。ただしACCDB専用機能は使えない点を確認する。
- 設計中か?完成品か? → 設計中はACCDB。変更がなくなり配布段階になったらACCDEの検討へ。
- VBAとフォームのソースを保護して配布したいか? → ACCDE形式に変換して配布する。元のACCDBは開発者が保管する。
- 繰り返し新規作成のベースとして使ってもらいたいか? → ACCDT形式で保存する。
- 上記に当てはまらない通常運用の場合 → ACCDBのまま運用し、定期的にコンパクトと修復を実施する。
データベースのコンパクトと修復
ファイル形式の選択とあわせて押さえておきたいのが「コンパクトと修復」です。Accessはレコードを削除してもファイルサイズがすぐに縮まらず、使い続けると肥大化します。定期的に「コンパクトと修復」を行うことでファイルサイズを最適化し、破損リスクを下げることができます。
コンパクトと修復の実行手順
- 対象のACCDBファイルをAccessで開く
- 「データベースツール」タブ → 「コンパクトと修復」をクリック
- 処理が完了するまで待つ(ファイルサイズが大きいほど時間がかかる)
「ファイルを閉じるときに自動的にコンパクトする」設定もあります。「ファイル」→「オプション」→「現在のデータベース」内の「閉じるときにコンパクトする」にチェックを入れると、データベースを閉じるたびに自動でコンパクトが実行されます。
MOS Access試験との関係
MOS Access 365は、AccessのデータベースをMicrosoft 365環境で実務的に操作する能力を測る試験です。試験時間は50分、採点は1000点満点で実施されます。合格点は公表されておらず、550点~850点が目安とされています。
ファイル形式の操作に関連するスキルは、「データベースを管理する」領域で問われることがあります。具体的には次のような操作が学習対象になります。
- ACCDEファイルの作成(「ファイル」→「名前を付けて保存」→「ACCDEの作成」の操作手順)
- データベースのバックアップ(「ファイル」→「名前を付けて保存」→「データベースのバックアップ」)
- コンパクトと修復の実行
- パスワードによるデータベースの暗号化(排他モードで開いた状態での「データベースツール」→「データベースのパスワードの設定」)
分野別の出題数・配点は公表されていません。出題範囲に含まれる操作を確実に手を動かして練習しておくことが、合格への近道です。

よくある質問(FAQ)
Q. ACCDEを作成しようとすると「ACCDEの作成」が表示されません。
主な原因は3つあります。①VBAプロジェクトにパスワードが設定されているため参照できない状態になっている、②データベースが排他モードで開かれていない(ネットワーク上や共有フォルダに配置されている)、③Access 32bit環境でACCDB内に64bitコンパイル済みVBAが含まれているなどのバージョン不一致。ローカルディスクにコピーしてから排他モードで開き直すと解消する場合があります。
Q. ACCDEを配布した相手がデータを変更できなくなりました。
ACCDEはテーブルのデータ入力・変更は可能です。データが変更できない場合、フォームのプロパティで「編集可能」が「いいえ」に設定されている可能性があります。元のACCDBで対象フォームのプロパティを確認してください。
Q. MDB形式に変換したらVBAが動作しなくなりました。
Access 2007以降の参照ライブラリ(例:Microsoft Office 16.0 Access Database Engine Object Library)をVBAが参照している場合、MDB形式でそのライブラリが見つからずエラーになることがあります。VBEの「ツール」→「参照設定」で参照を確認し、不足しているライブラリを再設定してください。
Q. パスワードを設定するとACCDEに変換できますか。
データベース暗号化パスワード(「データベースのパスワードの設定」で設定したもの)がかかっている場合、ACCDE作成時にそのパスワードを入力するよう求められます。パスワードを正しく入力すれば変換できます。ただし、VBAプロジェクトのパスワード(「ツール」→「VBAProjectのプロパティ」→「保護」で設定するもの)とは異なるため、混同しないよう注意してください。
Q. ACCDTで作成したテンプレートはどこに保存されますか。
既定では「ドキュメント\My Database Templates」フォルダに保存されます。Accessの「新しいデータベース」作成画面の「個人用」タブから選択して利用できます。保存先を変えたい場合は「ファイル」→「オプション」→「全般」の「既定のデータベースフォルダー」を変更してください。
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MOS Access試験の合格を目指す方へ
ファイル形式の操作はMOS Access試験の出題範囲に含まれます。この記事で解説したACCDEの作成・MDB変換・コンパクトと修復を実際のAccessで手を動かして練習しておくと自信が持てます。MOS試験対策のさらなる詳細は当サイトの関連記事もあわせてご確認ください。
