「セルにメモを書いたつもりが、同僚には表示されなかった」「コメントとメモの違いがわからなくて誤操作してしまった」「印刷すると見覚えのないコメントが全部印字されて困った」——Excelの注釈機能を使う場面でこうした戸惑いを感じたことはないでしょうか。
Excelには現在「コメント」と「メモ」の2種類の注釈機能があります。Microsoft 365版のExcelでは、以前「コメント」と呼ばれていたものが「メモ」に変わり、返信スレッドを持つ新しい「コメント」が追加されました。この変更により名称の混乱が生じやすくなっています。本記事ではそれぞれの違いと操作手順を整理し、印刷設定・一括管理・MOS試験対策まで体系的に解説します。
MOS Excel 365(MO-210)の一般レベル試験でも注釈機能の操作が出題範囲に含まれます。実務と試験対策を同時に押さえたい方はぜひ最後まで読んでください。
コメントとメモの違い——まずここを整理する
Excel 2019以前では注釈機能を「コメント」と統一して呼んでいましたが、Microsoft 365のExcelではリニューアルが行われ、2つの機能が別々に独立しています。
| 項目 | コメント(新) | メモ(旧「コメント」) |
|---|---|---|
| 返信スレッド | あり(複数人でやりとり可能) | なし(単独テキストのみ) |
| アイコン表示 | 紫色の吹き出しアイコン | 赤い三角(折りたたみ時) |
| 投稿者名 | アカウント名が自動付与 | 初期は「ユーザー名」 |
| 用途 | チーム共同レビュー | 自分用メモ・単純注釈 |
| ショートカット | 校閲タブから挿入 | Shift+F2(または校閲タブ) |
印刷設定や一括管理においても挙動が若干異なります。本記事ではメモ(従来型)を中心に手順を解説し、コメント(新型)との差異は都度補足します。MOS Excel 365試験では「メモ」の操作が主に問われます。
メモを挿入する3つの方法
方法1:ショートカットキー(最速)
注釈を付けたいセルを選択した状態で Shift+F2 を押すと、メモの入力ボックスが即座に表示されます。テキストを入力したらセルの外側をクリックするか Esc で確定します。日常的にメモを使う場合はこのショートカットを覚えると最も速く操作できます。
方法2:右クリックメニューから挿入
セルを右クリックして表示されるコンテキストメニューから「メモを挿入」を選択します。Microsoft 365の場合、メニューには「コメントを挿入」と「メモを挿入」の両方が表示されることがあるため、目的に応じて使い分けてください。
方法3:リボンの「校閲」タブから挿入
「校閲」タブ → 「コメント」グループ → 「メモ」ボタン → 「新しいメモ」をクリックします。リボン操作に慣れている場合はこの方法が視覚的でわかりやすいです。なお「コメント」グループには「コメント(新型)」と「メモ(従来型)」が別々に配置されています。
メモを編集・削除する手順
メモを編集する
既存のメモを編集するには、メモが付いたセルを選択して以下のいずれかを操作します。
- Shift+F2:メモ編集モードに入る(最速)
- 右クリック → 「メモを編集」
- 「校閲」タブ → 「メモを編集」
編集中はメモのテキストボックス内にカーソルが入り、文字の追加・削除・書式変更が可能になります。書式変更はメモ内のテキストを選択した状態で右クリック → 「コメントの書式設定」から行います。フォントの種類・サイズ・色・太字設定を変更できます。
メモを削除する
セルを選択して右クリック → 「メモを削除」で個別削除できます。複数のセルを選択してから同操作を行うと、選択範囲のメモを一括削除できます。「校閲」タブ → 「削除」ボタンからも同様に操作できます。
注意:Deleteキーではセルの値が削除されるだけで、メモは残ります。メモを消すには必ず上記の「メモを削除」操作を使ってください。
メモの表示・非表示を制御する
個別のメモを常時表示にする
メモはデフォルトでは「セルの上にマウスを乗せたとき(ホバー時)だけ表示」される設定になっています。特定のメモを常時表示にしたい場合は、そのセルを右クリック → 「メモの表示/非表示」を選択します。チェックが入ると常時表示モードになり、チェックを外すと再びホバー時のみの表示に戻ります。
すべてのメモを一括表示・非表示にする
「校閲」タブ → 「メモとコメントの表示」ボタンで、シート上のすべての注釈(メモ・コメント)を一括で表示・非表示切り替えできます。特定シートの注釈を全員に見せたいレビュー場面や、印刷前に内容確認したい場面で便利です。
Excelのオプションで既定表示を変更する
「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」→「表示」セクションの「メモとコメントの表示」で既定の表示方法を変更できます。選択肢は「コメントもインジケーターも表示しない」「インジケーターのみ、マウスポインターを合わせたときのみコメントを表示」「コメントとインジケーターを表示する」の3つです。
| 設定 | 赤い三角 | ホバーで本文 | 常時本文表示 |
|---|---|---|---|
| インジケーターのみ(既定) | 表示 | 表示 | 非表示 |
| コメントとインジケーターを表示 | 表示 | 表示 | 表示 |
| 表示しない | 非表示 | 非表示 | 非表示 |
コメント(新型)を挿入・管理する
コメントを挿入する
返信スレッドを持つ新型のコメントは、セルを右クリック → 「コメントを挿入」、または「校閲」タブ → 「新しいコメント」で挿入します。テキストを入力して Ctrl+Enter で投稿します(Enter のみだと改行になる点に注意してください)。
コメントに返信する
コメントが付いたセルをクリックすると右側にスレッドパネルが開きます。「返信」ボタンをクリックしてテキストを入力、Ctrl+Enter で返信が投稿されます。投稿者のMicrosoftアカウント名が自動で付与されるため、複数人でのレビューやフィードバックのやりとりに適しています。
コメントを解決済みにする
スレッドの処理が完了したら「…」メニュー → 「スレッドを解決する」を選択します。解決済みのコメントはグレーアウト表示になり、「すべてのコメントを表示」で再確認できます。解決済みコメントも削除しない限りブック内に保持されます。
メモの印刷設定——試験頻出の操作
メモはデフォルトでは印刷されません。印刷に含めたい場合は「ページレイアウト」タブ → 「ページ設定」グループ右下のダイアログランチャー(↗マーク)→「シート」タブを開き、「コメントとメモ」欄から印刷方法を選択します。
| 設定値 | 印刷結果 |
|---|---|
| なし(既定) | メモ・コメントを印刷しない |
| シートの末尾 | シートの最後にメモ一覧をまとめて印刷する |
| 画面表示イメージ | セル上に表示されているメモをそのままの位置で印刷する |
「シートの末尾」を選ぶと「セル番地:メモ本文」の形式で一覧が付属印刷されます。「画面表示イメージ」は常時表示設定のメモだけが対象になるため、印刷したいメモは事前に常時表示に切り替えておく必要があります。MOS試験ではページ設定ダイアログの「シート」タブを操作する問題が出題されることがあります。
メモ・コメントを一括管理する実務テクニック
「前へ」「次へ」ボタンでセル間を移動する
「校閲」タブ → 「前へ」「次へ」ボタンを使うと、シート上のメモ・コメントが付いたセルを順番に移動できます。大量のメモが散らばったシートで内容を確認するときに便利です。
ジャンプ機能でメモセルを一括選択する
Ctrl+G(ジャンプ)→「セルの選択」→「コメント」を選ぶと、シート上のメモ・コメントが付いたセルをすべて選択状態にできます。その状態でDeleteキーを押してもメモは消えません(セル値のみ削除)。メモを一括削除するには選択後に「校閲」タブ →「削除」を使います。
メモを別のセルにコピーする
メモが付いたセルをコピー(Ctrl+C)し、貼り付け先を選択してから「形式を選択して貼り付け」(Ctrl+Alt+V)→「コメントとメモ」を選んでOKを押します。セルの値や書式を変えずにメモだけをコピーできます。
メモのサイズを調整する
常時表示になっているメモはボックスの枠にマウスを当てるとドラッグでサイズ調整できます。長い文章のメモは既定サイズでは見切れるため、必要に応じてボックスを広げてください。位置も同様にドラッグで移動できます。
作成者名を変更する
メモの冒頭に自動挿入される「ユーザー名:」を変更するには、「ファイル」→「オプション」→「全般」タブ →「Microsoftの個人設定」欄の「ユーザー名」を修正します。既存メモのテキストは変わりません(以後作成するメモから反映されます)。
実務での活用パターン
パターン1:入力規則と組み合わせて入力ガイドを表示する
データ入力規則の「入力時メッセージ」とは異なり、メモは自由なテキスト・書式で常時または手動で表示できます。「このセルには税抜価格を入力してください」「1000以上の整数のみ」といったガイドをメモで残しておくと、規則説明文として機能します。ただし入力規則のエラーチェックはメモには連動しません。
パターン2:集計シートに数式説明メモを付ける
複雑なネスト関数や特殊な参照を使っている数式セルに「INDIRECT関数で月別シートを動的参照」「祝日テーブルはH列参照」などのメモを付けておくと、後からファイルを開いた自分や同僚が数式の意図をすぐに把握できます。セル内にコメントを埋め込むN関数(例:=SUM(A1:A10)+N(“合計行は税抜金額”))との使い分けも有効です。
パターン3:チームレビューにはコメント(新型)を使う
OneDriveやSharePointで共有しているブックでは、コメント(新型)の返信スレッドを使ってレビュアーとのやりとりをセル単位で記録できます。「この数式の根拠は?」「来週の会議で確認します」といった会話がスレッドとして残るため、メール・チャットとは別にファイル内でコンテキストを保持できます。
MOS Excel 365試験の出題範囲と対策
コメント・メモの操作は、MOS Excel 365 一般レベル(MO-210)の出題領域「セルやセル範囲のデータの管理」に含まれます。分野別の出題数・配点は公表されていません。試験時間は50分、採点は1000点満点です。合格点は非公開で550点~850点が目安とされています。
合格率は公表されていません。
試験では操作の正確さが問われるため、以下の手順を実際にExcelを開いて練習しておくことを勧めます。
- Shift+F2でメモを挿入し、テキストを入力してセル外クリックで確定する
- 既存メモを編集する(Shift+F2で編集モードに入る)
- 右クリック → 「メモを削除」でメモを削除する
- 「メモの表示/非表示」で特定メモを常時表示にする
- 「ページ設定」→「シート」タブで「シートの末尾」印刷を設定する
- 「形式を選択して貼り付け」→「コメントとメモ」でメモをコピーする
学習時間の目安(公式非公表のためハウス統一基準):初学者は40~60時間、業務でExcelを使っている方は20~30時間。1日1時間のペースなら初学者で約2か月、経験者で3~4週間です。
受験料は一般価格と学割価格の2種(税込)があります。金額は改定されることがあるため、最新の受験料は公式サイトの「受験料・価格」(https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html)でご確認ください。
PR
MOS Excel 365(MO-210)の試験範囲を網羅した公式準拠テキスト。コメント・メモをはじめ「セルやセル範囲のデータの管理」領域の操作を実際の問題形式で練習でき、試験本番に直結する演習量を確保できます。
PR
改善Excel パフォーマンスを底上げする仕事改善・効率化テクニック
コメント・メモを活用したチームレビュー手順や、Excelファイルを業務ドキュメントとして整備するノウハウが豊富に収録されています。実務でExcel管理品質を上げたい方に特に役立ちます。
まとめ:コメントとメモを目的別に使い分けてExcel活用度を高める
Excelの注釈機能は「返信スレッドを持つコメント(新型)」と「単独メモ(従来型)」の2種類があります。用途に合わせて使い分けることで、チームレビューから個人の作業メモまで幅広く活用できます。
- メモの挿入は Shift+F2 が最速。右クリックメニューや校閲タブからも操作できる
- コメント(新型)は Ctrl+Enter で投稿し、返信スレッドでチームのやりとりを記録できる
- メモの常時表示/非表示は右クリック → 「メモの表示/非表示」で切り替える
- 印刷する場合は「ページ設定」→「シート」タブ →「コメントとメモ」で「シートの末尾」または「画面表示イメージ」を選択する
- ジャンプ機能(Ctrl+G)→「コメント」でメモ付きセルを一括選択でき、校閲タブの「削除」で一括削除できる
- Deleteキーではメモは消えない。削除は必ず「メモを削除」操作を使う
- 「形式を選択して貼り付け」→「コメントとメモ」でメモのみをコピーできる
当サイトでは、Excel・Word・PowerPoint・AccessなどのOffice操作やMOS試験対策に関する情報を幅広く発信しています。ぜひ他の記事もご覧ください。
