売上の内訳、費用の割合、アンケート結果の構成比——「全体のうちそれぞれが何パーセントを占めるか」を直感的に伝えるには、円グラフが最も効果的なグラフのひとつです。
円グラフはシンプルに見えて、「データラベルに割合を表示させる方法がわからない」「小さい扇形がいくつもあって見づらい」「ドーナツグラフとの使い分けを知りたい」といった疑問を持つ方が多いのも事実です。本記事では2026年最新のExcel 365環境を対象に、円グラフの挿入から、サブタイプの使い分け、データラベルの詳細設定、補助円グラフの活用まで、実務に直結する手順を体系的に解説します。MOS Excel 365(MO-210)試験の「グラフの管理」に含まれる円グラフ関連の操作も、あわせて押さえていきます。
本記事を読み終えたとき、「ひと目で割合が伝わる円グラフをすぐ作れる」「データラベルの表示項目を目的に合わせて設定できる」「小さい扇形をまとめる補助円グラフが使える」「MOS試験のグラフ問題に対応できる」状態になることを目指します。
円グラフが適している場面と適さない場面
円グラフは「全体に対する各部分の割合・構成比」を示すためのグラフです。ほかのグラフとの違いをまとめます。
| グラフの種類 | 主な用途 | 適するデータ |
|---|---|---|
| 棒グラフ | カテゴリ間の量の比較 | 各カテゴリの売上・得点など |
| 折れ線グラフ | 時系列の変化・トレンド | 月別売上推移など |
| 円グラフ | 全体に対する割合・構成比 | 予算の内訳・アンケート回答比率など |
| ドーナツグラフ | 円グラフと同様(複数系列も可) | 複数年度の内訳比較など |
円グラフを使うと効果的な場面の例を次に示します。
- 売上全体に対する商品カテゴリの構成比を示したい
- 経費全体に占める各項目(人件費・広告費・設備費など)の割合を把握したい
- アンケートの回答選択肢ごとの比率を報告書に掲載したい
- 年間予算に対する部門別の配分比率を経営会議で説明したい
一方、次のような場合は円グラフは適していません。
- 比較したい項目が多い(目安として7項目以上は扇形が小さくなりすぎて読みにくい)
- 時系列の変化を見せたい(折れ線グラフが適切)
- 各カテゴリの値そのものを比較したい(棒グラフが適切)
- 負の値(マイナスの数値)が含まれる(円グラフでは表現できない)
円グラフ用データの準備
円グラフは「カテゴリ名(ラベル)」と「数値」の2列で構成されます。データを準備するときのポイントをまとめます。
データ配置のルール
- 1行目はヘッダー行にする——「費目」「金額」など列の見出しを入れると、グラフの凡例や系列名に自動反映される
- カテゴリ名は1列、数値は1列——2列をセットで選択すれば、自動的に各扇形のラベルと大きさが設定される
- 数値はすべて正の値にする——0や負の値が含まれると、その扇形は表示されないか意図しない形になる
- 空白セルは除外する——空白が含まれると「(空白)」という扇形が追加されてしまう場合がある
データ例(想定例)
年間マーケティング費用の内訳を示す想定例を次に示します。
| 費目 | 金額(万円) |
|---|---|
| デジタル広告 | 480 |
| 展示会・イベント | 250 |
| 印刷・制作物 | 180 |
| PR・メディア | 120 |
| その他 | 90 |
このように5項目程度であれば、各扇形のサイズが適度に確保され、視認性の高い円グラフに仕上がります。
円グラフの挿入手順
基本手順
- カテゴリ名の列と数値の列を含むセル範囲(ヘッダー行を含む)を選択する
- 「挿入」タブをクリックする
- 「グラフ」グループの「円グラフまたはドーナツ グラフの挿入」ボタン(円の形のアイコン)をクリックする
- 表示されるギャラリーから目的のサブタイプを選択する
- シート上に円グラフが挿入される
「おすすめグラフ」(挿入→グラフ→おすすめグラフ)を使う方法もあります。データを選択した状態でクリックすると、データの内容に合ったグラフ候補が自動提案されます。
円グラフのサブタイプと使い分け
Excelの「円グラフまたはドーナツ グラフの挿入」ボタンには次のサブタイプが含まれます。
| サブタイプ名 | 特徴 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 円グラフ | 標準の2D円グラフ | 構成比を示す最もシンプルな形式。汎用的 |
| 3-D円グラフ | 立体感のある円グラフ | 視覚的なアクセントが欲しい場合。ただし奥行きで割合の読み取りが難しくなるため注意 |
| 補助円付き円グラフ | 小さい扇形を別の円に展開 | 小さい項目が複数ある場合に詳細を示したい場合 |
| 補助棒付き円グラフ | 小さい扇形を別の棒グラフに展開 | 補助円付きと同様の場面。棒グラフ形式で比較しやすい |
| ドーナツ グラフ | 中央に穴のある円グラフ | 複数の系列を同心円で表示する場合や、中央に合計値・タイトルを表示する場合 |
一般的なビジネスレポートでは「円グラフ(2D)」が最もシンプルで誤解が生じにくく、最初の選択肢として推奨します。3-D円グラフは視覚的なインパクトはありますが、奥側の扇形が実際より小さく見える視覚的バイアスが生じるため、正確な比較を重視する場面では避けることをお勧めします。
データラベルの設定
円グラフで最も重要な設定のひとつがデータラベルです。デフォルトでは数値のみが表示されますが、「%(パーセンテージ)」「カテゴリ名」「引き出し線」など、目的に合わせて細かく設定できます。
データラベルの追加手順
- グラフをクリックして選択する
- グラフ右上の「+」(グラフ要素)ボタンをクリックする
- 「データ ラベル」のチェックボックスをオンにする
- ▶(右矢印)をクリックすると表示位置(内側、外側、自動など)を選べる
データラベルの書式設定(詳細設定)
データラベルを詳細に設定するには、ラベルをダブルクリックして「データ ラベルの書式設定」作業ウィンドウを開きます。「ラベル オプション」で表示項目を細かく制御できます。
| 設定項目 | 内容 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 系列名 | データ系列の名前を表示 | 複数系列があるグラフで系列を識別する場合 |
| 分類名 | カテゴリ名(費目名など)を表示 | 凡例なしで各扇形が何を表すか直接示したい場合 |
| 値 | 実際の数値を表示 | 金額や人数など実値を示したい場合 |
| パーセンテージ | 全体に対する割合を%で表示 | 構成比の伝達が目的の場合(最も多く使われる) |
| 引き出し線を表示する | 扇形から引き出し線を伸ばしてラベルを配置 | 小さい扇形でラベルが重なる場合 |
| 区切り文字 | 複数項目を表示するときの区切り(改行・カンマなど) | 「分類名+パーセンテージ」を2行で表示する場合 |
構成比レポートでは「分類名」と「パーセンテージ」の両方をオンにし、区切り文字を「(改行)」に設定すると、カテゴリ名と割合の2行表示になり読み取りやすくなります。凡例を削除すれば、グラフ本体だけで内容が完結します。
扇形の分離・色変更・書式設定
特定の扇形を分離する(扇形の切り出し)
注目させたい扇形を円グラフから引き離すことで、特定の項目を強調できます。
- 円グラフ全体をクリックして選択する(1回目のクリック)
- 分離したい扇形を再度クリックして、その扇形だけを選択する(2回目のクリック)
- 選択した扇形を外側にドラッグする
または、扇形を右クリック→「データ要素の書式設定」を開き、「系列のオプション」→「要素の切り出し」スライダーで切り出し量(%)を数値入力で指定することもできます。
全扇形を均等に分離する
円グラフ内をクリックしてすべての扇形を選択した状態で、「データ系列の書式設定」→「系列のオプション」→「円グラフの切り出し」スライダーを動かすと、全扇形が均等に分離されます。
扇形の色を変更する
特定の扇形をクリックして選択→右クリック→「データ要素の書式設定」→「塗りつぶしと線」タブで色を変更します。特定の扇形だけ色を変えて強調したい場合によく使う操作です。
グラフの開始角度を変更する
最も目立つ位置(時計の12時の位置)に特定の扇形を配置したい場合、「データ系列の書式設定」→「系列のオプション」→「最初の扇形の切り出し」で0°~360°の範囲で角度を指定します。デフォルトは0°(時計の12時の位置から時計回りに1番目のデータが始まる)です。
ドーナツグラフの設定と活用
ドーナツグラフは円グラフの中央に穴が開いた形式です。見た目が円グラフに近く、中央に合計値やタイトルテキストを配置できるため、ダッシュボードやインフォグラフィックで人気があります。
ドーナツの穴のサイズを変更する
- ドーナツグラフのドーナツ部分をクリックして選択する
- 右クリック→「データ系列の書式設定」をクリックする
- 「系列のオプション」にある「ドーナツの穴の大きさ」スライダーで10%~90%の範囲で調整する
穴の割合が大きいほど中央のスペースが広がり、数値やテキストを配置しやすくなります。初期値は75%程度です。
ドーナツグラフの中央にテキストを重ねる方法
Excelの標準機能ではドーナツの中央に直接テキストを入力する専用機能はありませんが、テキストボックス(挿入→テキストボックス)を追加してグラフ中央に配置することで、合計値やKPI値を中央に表示するデザインが実現できます。
ドーナツグラフの複数系列(同心円)
ドーナツグラフは、複数の系列を同心円状に並べて表示できる点が円グラフにはない特徴です。「データの選択」→「系列の追加」で2つ目の系列を追加すると、外側に新しいリングが追加されます。複数年度の構成比を1つのグラフで視覚比較したい場合に活用できます。
補助円グラフ(補助円付き円グラフ)の設定
項目数が多く小さい扇形が複数発生してしまう場合に便利なのが補助円付き円グラフです。小さい扇形をグループとして「その他」にまとめ、隣に別の円で詳細を展開する形式です。
補助円グラフの挿入手順
- データ範囲を選択する
- 「挿入」→「円グラフまたはドーナツ グラフの挿入」→「補助円付き円グラフ」を選択する
- シート上に2つの円からなるグラフが挿入される
補助プロットの分割設定
どの扇形を補助円側に移すかは「データ系列の書式設定」→「系列のオプション」→「分割の基準」で制御します。
| 分割の基準 | 内容 |
|---|---|
| 位置 | データの末尾からN個を補助円に移す |
| 値 | 指定した値より小さいデータを補助円に移す |
| パーセント値 | 指定した%より小さい割合のデータを補助円に移す |
| ユーザー設定 | 手動でドラッグして各扇形をどちらに表示するか個別に指定する |
たとえば「パーセント値」を5%に設定すると、全体の5%未満の扇形がすべて補助円側に移動します。「2つの円の間隔」スライダーで補助円と主円の間隔も調整できます。
MOS Excel 365(MO-210)「グラフの管理」の試験対策
MOS Excel 365 一般レベル(MO-210)の5番目の出題領域は「グラフの管理」です。試験時間は50分、採点は1,000点満点です。合格点は公表されていませんが550点~850点が目安とされています。合格率は公表されていません。出題範囲に含まれます。分野別の出題数・配点は公表されていません。受験料は一般価格と学割価格の2種があり(いずれも税込)、最新の受験料は公式サイトの「受験料・価格」(https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html)でご確認ください。
試験対策1:円グラフの挿入とサブタイプの変更
「指定したデータ範囲で円グラフを挿入してください」という基本問題から、「補助円付き円グラフに変更してください」という応用問題まで幅広く出題される可能性があります。挿入の操作経路「挿入」タブ→「グラフ」グループ→「円グラフまたはドーナツ グラフの挿入」を確実に把握してください。グラフ種類の変更は、グラフを選択した状態で「グラフのデザイン」タブ→「グラフの種類の変更」から操作します。
試験対策2:データラベルの追加と書式設定
「円グラフのデータラベルに分類名とパーセンテージを表示してください」という問題が出る場合があります。「+」(グラフ要素)→「データ ラベル」の追加だけでなく、ラベルをダブルクリックして「データ ラベルの書式設定」から「分類名」と「パーセンテージ」のチェックを入れる操作まで確実に練習しておきましょう。
試験対策3:グラフ要素の追加・変更と扇形の書式操作
「グラフ タイトルを〇〇に変更する」「凡例を下に移動する」「特定の扇形を切り出す」「グラフの色を変更する」といった操作も出題範囲です。グラフ要素の操作は「+」ボタンと「グラフのデザイン」タブ→「グラフ要素を追加」の2つの経路を覚え、どちらからでも操作できるようにしておきます。
試験対策4:グラフを別シートに移動する
グラフを独立したシート(グラフシート)に移動する操作も「グラフの管理」に含まれます。グラフを選択→「グラフのデザイン」タブ→「グラフの移動」→「新しいシート」を選択して名前を入力する手順を押さえておきましょう。
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Excelの基本操作からグラフ作成・データ分析まで網羅した定番の入門書。円グラフ・ドーナツグラフを含むグラフ機能全般をステップごとに丁寧に解説しており、MOS試験の準備と実務スキル習得の両面で役立ちます。
まとめ:円グラフ・ドーナツグラフで割合を伝える
本記事ではExcelの円グラフ・ドーナツグラフについて、挿入手順・サブタイプの使い分け・データラベルの詳細設定・補助円グラフの活用まで体系的に解説しました。重要ポイントをまとめます。
- 円グラフは「全体に対する割合・構成比」を直感的に示すグラフ。項目数は7以下を目安に、負の値は使用不可
- 挿入は「挿入」→「円グラフまたはドーナツ グラフの挿入」から。汎用的な場面には2D円グラフが最もシンプルで推奨
- データラベルは「+」ボタンから追加し、ダブルクリックで「書式設定」を開いて分類名・パーセンテージ・引き出し線を細かく設定できる
- 扇形の分離(切り出し)は分離したい扇形を個別クリックしてドラッグ。「最初の扇形の切り出し」で開始角度(0°~360°)を変更できる
- ドーナツグラフは中央に穴が開いた形式。穴のサイズ調整で中央テキスト配置スペースを確保でき、複数系列(同心円)表示が可能
- 小さい扇形が多い場合は「補助円付き円グラフ」を使い、「分割の基準」(パーセント値・値・位置)で補助円へ移す扇形を制御する
- MOS Excel 365(MO-210)「グラフの管理」では、円グラフの挿入・種類変更・データラベル設定・グラフ要素操作が問われる
円グラフの操作をさらに深めたい方は、本サイトの「Excelの複合グラフで棒グラフと折れ線グラフを重ねる」や「スパークラインでExcelセル内ミニグラフを作る」もあわせてご覧ください。
