PowerPointで作ったスライドを上司や同僚にレビューしてもらうとき、「ここを直してください」というフィードバックをメールやチャットで受け取り、どのスライドのどこを指しているのか確認しながら修正する——という手間を経験したことはないでしょうか。
PowerPointのコメント機能を使えば、スライド上の特定の箇所にメモを直接貼り付け、返信・解決マーク・スレッド化まで行えます。さらにプレゼンテーション比較機能を組み合わせると、2つのバージョン間の変更点を自動的に一覧表示できます。MOS PowerPoint 365試験でも「校閲」タブの操作は出題対象です。本記事ではコメントの追加から共同レビューの実務フロー、プレゼンテーション比較機能、MOS試験頻出ポイントまで体系的に解説します。
「メールでのフィードバックが散らばって管理しきれない」「PowerPoint比較機能の使い方を知りたい」「MOS試験の校閲タブ問題を確実に取りたい」という方はぜひ最後までご覧ください。
PowerPointのコメント機能:モダンコメントとクラシックコメント
PowerPoint for Microsoft 365(バージョン2210以降)では、コメントの仕様が大きく変わりました。従来の「クラシックコメント」に加え、スレッド形式で返信・解決できる「モダンコメント」が標準になっています。
| 比較項目 | モダンコメント(Microsoft 365) | クラシックコメント(旧バージョン互換) |
|---|---|---|
| スレッド返信 | 可能(複数人が1コメントに返信) | 不可(独立したコメント追加のみ) |
| 解決マーク | あり(Resolved) | なし |
| アンカー表示 | テキスト・図形に直接固定 | スライド全体に関連付け |
| @メンション通知 | 対応(OneDrive/Microsoft 365環境) | なし |
| 旧バージョンとの互換性 | 旧バージョンではクラシックに変換される | 全バージョンで表示可 |
MOS PowerPoint 365試験はモダンコメントを前提とした出題が増えています。本記事もモダンコメントを中心に解説しますが、クラシックコメントの操作も適宜触れます。
コメントを追加する基本手順
コメントを追加するには次の3つの方法があります。
方法1:リボンから追加する
- コメントを付けたいテキスト・図形・スライドを選択する
- [校閲]タブ → [コメント]グループ → [新しいコメント]をクリック
- 右側に「コメント」ウィンドウが開くので、コメント本文を入力する
- Ctrl+Enterまたはウィンドウ右下の送信ボタン(→)で確定する
方法2:ショートカットキーで追加する
テキストを選択した状態で Shift+F2 を押すと、コメントウィンドウが開いてカーソルが入力欄に移ります。マウス操作が不要なため、キーボード操作を重視するMOS試験でも役立ちます。
方法3:右クリックメニューから追加する
スライド上のテキストや図形を右クリック → [コメントの追加]でも同じ操作が可能です。スライドの空白部分を右クリックするとスライド全体に関連付けられたコメントが追加されます。
@メンションで特定メンバーに通知する
コメント入力中に @氏名またはメールアドレス と入力すると、OneDrive/Microsoft 365環境でその相手に通知メールが届きます。「@鈴木さん ここのグラフのデータを2026年版に更新してください」のように使うと、対応者と依頼内容がコメント内で明確になります。
コメントスレッドの操作:返信・解決・再開
モダンコメントでは、1つのコメントに対してスレッド形式で返信でき、修正完了後は「解決済み」にして対応ログを残せます。
返信する
- スライド上のコメントバブル、またはコメントウィンドウの該当コメントをクリック
- [返信]欄(「返信を追加…」と表示)に本文を入力する
- Ctrl+Enterで送信する
レビュアーが「A社のロゴを大きくしてください」とコメントし、制作者が「v2で対応しました」と返信する、という双方向のやりとりが1スレッドにまとまります。メール往復と違い、どのスライドのどの箇所についてのやりとりかが常に明確です。
解決済みにする
コメントウィンドウの右上にある […](その他オプション)→ [スレッドを解決する] をクリックすると、コメントがグレーアウトして「解決済み」状態になります。スライド上のコメントバブルも薄く表示が変わるため、未対応コメントとひと目で区別できます。
解決済みコメントを再開する
再修正が必要になった場合は、解決済みコメントの […] → [スレッドを再度開く] をクリックすると通常の未解決状態に戻ります。修正履歴を消さずに管理できる点がメール往復との大きな違いです。
コメントを削除する
コメントウィンドウの […] → [スレッドを削除] でそのスレッドごと削除できます。[校閲]タブ → [コメントの削除]のドロップダウンから「スライドのすべてのコメントを削除」や「プレゼンテーションのすべてのコメントを削除」も選べます。最終納品前にコメントをまとめて削除する際に便利です。
コメントウィンドウの活用と表示切り替え
コメントウィンドウはプレゼンテーション内の全コメントを一覧できるパネルです。以下の操作で開閉できます。
- [校閲]タブ → [コメント]グループ → [コメントの表示]をクリック(トグル)
- スライド上のコメントバブルをクリックすると自動でウィンドウが開く
コメントウィンドウでは次のナビゲーションが使えます。
| 操作 | 方法 |
|---|---|
| 前のコメントに移動 | [校閲]タブ → [前のコメント]ボタン |
| 次のコメントに移動 | [校閲]タブ → [次のコメント]ボタン |
| 解決済みコメントを表示 | ウィンドウ上部の「解決済み」フィルターをクリック |
| ウィンドウの開閉 | [校閲] → [コメントの表示]のトグル |
コメントのあるスライドを一目で把握する
スライドパネル(左側のサムネイル一覧)では、コメントが存在するスライドのサムネイル右下に吹き出しアイコンが表示されます。大量のスライドがある場合でも、コメント対応が必要なスライドをすぐに見つけられます。
印刷時のコメント処理
コメントを含めて印刷するかどうかは印刷設定で制御します。社外向けの配布資料を印刷する前に必ず確認しましょう。
- [ファイル]タブ → [印刷]
- [設定]の「フルページサイズのスライド」下にある [スライドに合わせてコメントを印刷] のチェックボックスを確認する
- チェックがオンの場合、スライド下部にコメントが印刷される
- 社外向け配布資料ではチェックをオフにして印刷する
PDF書き出し時も同様で、[ファイル] → [エクスポート] → [PDF/XPS文書の作成]の「オプション」ダイアログにもコメント含有の選択肢があります。納品前に一度PDFを開いて確認する習慣をつけると安心です。
共同レビューの実務ワークフロー
複数人でPowerPointをレビューする際の代表的なワークフローを2パターン紹介します。
パターン1:OneDrive/SharePointを使ったリアルタイム共同編集
- 制作者がファイルをOneDriveまたはSharePointに保存する
- [共有]ボタンからレビュアーに編集権限付きリンクを送る
- レビュアーがブラウザまたはPowerPointデスクトップでファイルを開き、コメントを追加する
- 制作者がリアルタイムまたは翌朝にコメントを確認・修正・解決する
- 全コメントが「解決済み」になったら最終版として保存・配布する
パターン2:ファイル添付メールでやりとりする(クラシック)
- 制作者がPPTXファイルをメールで送付する
- レビュアーがローカルで開いてコメントを追加し、ファイルを返送する
- 制作者が受け取ったファイルを修正し、次のレビュアーに送る
パターン2では「どれが最新版か」が不明になりやすいため、OneDrive保存への移行を推奨します。どうしてもメール添付が必要な場合は、ファイル名に日付と版番号(例:企画書_20260723_v3.pptx)を付けるルールを徹底するとトラブルを減らせます。
@メンションを使った役割分担コメント例
コメント内で@メンションを使うと担当者と依頼内容がセットで記録されます。
| コメント例 | 用途 |
|---|---|
| @鈴木 グラフのデータ元を最新の決算数値に更新してください | データ担当者への依頼 |
| @田中 このデザインで問題ないか確認お願いします | デザイン確認依頼 |
| @全員 この表現は法務確認が必要です。判断をお待ちください | ブロッカーの共有・進捗停止の可視化 |
プレゼンテーション比較機能で差分を可視化する
「修正前」と「修正後」の2ファイルを比較して変更箇所を自動でマークする機能が[校閲]タブの「比較」です。バージョン管理やレビュー後の確認作業に活用できます。
比較の操作手順
- 修正後(新しい)ファイルを開いた状態で [校閲]タブ → [比較]グループ → [比較]をクリック
- ダイアログが開くので、比較元(修正前の古い)ファイルを選択する
- [マージ]をクリックすると、変更箇所が右側の変更履歴ウィンドウに一覧表示される
- 各変更項目を選択すると、スライド上の該当箇所がハイライト表示される
- [承諾]または[却下]で変更を確定または取り消す
変更履歴ウィンドウの見方
| 表示項目 | 内容 |
|---|---|
| スライドの変更 | 現在表示中のスライドに対するテキスト・図形・書式などの変更一覧 |
| プレゼンテーションの変更 | スライドの追加・削除・移動など構成レベルの変更 |
| チェックボックス | チェックを入れると変更を「承諾」状態にプレビューできる |
比較機能はWordの「文書の比較」と同様のコンセプトですが、PowerPointではテキストだけでなく図形・アニメーション・レイアウトの差分も検出します。修正を複数人から別々に受け取った場合のマージ確認にも役立ちます。
比較を終了する
[校閲]タブ → [比較]グループ → [比較の終了]をクリックすると比較モードを終了します。確定していない変更は却下扱いになるため、すべての変更を承諾または却下してから終了するよう注意してください。
よくあるトラブルと対処法
| 症状・問題 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| コメントウィンドウが表示されない | [コメントの表示]がオフになっている | [校閲]タブ → [コメントの表示]をクリックしてオンにする |
| スライド上にコメントバブルが見当たらない | 標準ビュー以外のビューになっている、またはコメント表示がオフ | [表示]タブ → [標準]を選択してから[コメントの表示]を確認する |
| @メンション通知が届かない | ファイルがローカル保存でOneDrive/SharePointに保存されていない | ファイルをOneDriveまたはSharePointに移動して保存し直す |
| 解決済みコメントが見えない | コメントウィンドウの「解決済み」フィルターがオフになっている | コメントウィンドウ上部の「解決済み」タブをクリックして切り替える |
| 比較機能がグレーアウトして使えない | ファイルが保護ビューまたは読み取り専用になっている | [編集を有効にする]をクリックして編集可能状態にする |
| 配布した資料にコメントが印刷されていた | 印刷設定でコメント印刷がオンになっていた | [ファイル] → [印刷] → [スライドに合わせてコメントを印刷]のチェックを外す |
MOS PowerPoint 365試験での出題ポイント
MOS PowerPoint 365では「校閲」タブの機能が出題範囲に含まれます。以下の操作を実際のPowerPointで手を動かして練習しておきましょう。
- コメントの追加と確認:[校閲] → [新しいコメント]の操作と、コメントウィンドウの開閉ができる
- コメントへの返信と解決:スレッドへの返信方法と「スレッドを解決する」操作を正確に行える
- コメントの削除:特定コメントおよびプレゼンテーション全体のコメントを一括削除できる
- コメントの表示・非表示:[コメントの表示]のトグル操作と、スライドバブル表示の関係を理解している
- プレゼンテーションの比較:[比較]機能で2ファイルの差分を変更履歴ウィンドウに表示し、変更を承諾・却下できる
MOS試験 校閲機能チェックリスト
| 確認ポイント | 操作内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| コメントの追加 | [校閲] → [新しいコメント]またはShift+F2でコメントを追加できる | ★☆☆ |
| コメントへの返信 | コメントウィンドウの返信欄に入力してCtrl+Enterで送信できる | ★☆☆ |
| スレッドの解決 | […] → [スレッドを解決する]で解決済みにできる | ★★☆ |
| コメントの削除(単体) | [校閲] → [コメントの削除]で指定コメントを削除できる | ★☆☆ |
| コメントの削除(全件) | [コメントの削除]のドロップダウンから[プレゼンテーションのすべてのコメントを削除]を実行できる | ★★☆ |
| プレゼンテーションの比較 | [校閲] → [比較]で旧ファイルを指定し、変更履歴ウィンドウで差分を確認できる | ★★★ |
| 変更の承諾・却下と終了 | 比較モードで各変更を承諾または却下し、[比較の終了]で完了できる | ★★★ |
試験対策におすすめの書籍
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Teams・SharePoint・PowerPointをCopilotと連携して共同作業を加速するノウハウを網羅。OneDriveでのファイル共有・コメント連携・レビューワークフローを生成AIでどう変えるかを知りたい方に最適な一冊です。
まとめ:コメント機能でフィードバックをスライド上に集約する
本記事のポイントをまとめます。
- モダンコメント:Microsoft 365版PowerPointではスレッド返信・解決マーク・@メンション通知が使え、クラシックコメントより管理しやすい
- 追加方法:[校閲] → [新しいコメント]、右クリックメニュー、またはShift+F2ショートカットで追加できる
- スレッド操作:返信(Ctrl+Enter送信)→ 解決([…] → [スレッドを解決する])→ 再開([スレッドを再度開く])の流れを覚える
- コメントウィンドウ:[コメントの表示]でオン/オフを切り替える。スライドパネルの吹き出しアイコンでコメント有無がひと目でわかる
- 印刷設定:[ファイル] → [印刷]でコメント印刷の有無を選択できる。社外配布前に必ず確認する
- プレゼンテーション比較:[校閲] → [比較]で2ファイルの差分を変更履歴ウィンドウに一覧表示。変更を個別に承諾・却下できる
- MOS試験対策:コメントの追加・返信・解決・削除と、比較機能の基本手順が出題対象。実際にPowerPointで操作練習をしておくことが合格への近道
メールやチャットに散らばっていたフィードバックをスライド上のコメントに集約するだけで、修正対応の抜け漏れが大幅に減ります。OneDriveと@メンションを組み合わせれば、誰がどのコメントを対応すべきかが一目でわかる共同レビュー環境が整います。まずは社内の1プロジェクトで試してみてください。
