PERCENTILE・QUARTILE関数でExcelデータ分布を把握する|四分位数・パーセンタイル値の算出と箱ひげ図活用の実務パターンとMOS試験対策

「テストの点数を偏差値感覚で把握したい」「売上データの上位25%のボーダーを一発で出したい」——データのばらつきを特定の割合で区切った境界値を求める場面で、ExcelのPERCENTILE.INC関数・QUARTILE.INC関数は強力な武器になります。

MAXやAVERAGEだけでは「全体の中で上位何%にあたるか」「データの真ん中25%はどのあたりか」が見えません。PERCENTILE.INC/QUARTILE.INCを使えば、任意の割合で区切ったパーセンタイル値(百分位値)・四分位数を一発で取得でき、外れ値の検出や箱ひげ図の素材数値としても活用できます。

本記事では、PERCENTILE.INC・PERCENTILE.EXC・QUARTILE.INC・QUARTILE.EXCの基本構文・.INCと.EXCの使い分け・業務シナリオ別5パターン・外れ値検出(IQR法)・箱ひげ図との連携・よくあるエラーの対処法・MOS Excel試験の出題ポイントを体系的に解説します。


PERCENTILE・QUARTILE関数でExcelデータ分布を把握する|四分位数・パーセンタイル値の算出と箱ひげ図活用の実務パターンとMOS試験対策 - 解説
目次

PERCENTILE.INC・PERCENTILE.EXCの基本構文

パーセンタイル(百分位)とは、データ全体を100等分したときの境界値です。たとえば「90パーセンタイル」は下から90%の位置にある値を指します。

=PERCENTILE.INC(配列, k)
=PERCENTILE.EXC(配列, k)
引数説明省略
配列パーセンタイルを計算するセル範囲または配列必須
k求めるパーセンタイルを0.0~1.0の小数で指定(例:0.75=75パーセンタイル)必須

基本例:A2:A100に100件のテスト点数が入っているとき、90パーセンタイル(上位10%のボーダー)を求めます。

' 90パーセンタイル(上位10%のボーダー)
=PERCENTILE.INC(A2:A100, 0.9)

' 50パーセンタイル(中央値)
=PERCENTILE.INC(A2:A100, 0.5)

' 25パーセンタイル(第1四分位数)
=PERCENTILE.INC(A2:A100, 0.25)

kの指定方法:パーセンタイルをパーセント表記(70など)で考えている場合は、70÷100=0.7 として渡します。セル参照で渡すことも可能です。

' E1セルに「0.8」が入っているときセル参照で渡す
=PERCENTILE.INC(A2:A100, E1)

' kをパーセントで管理しているE1に「80」が入っているとき
=PERCENTILE.INC(A2:A100, E1/100)

QUARTILE.INC・QUARTILE.EXCの基本構文

四分位数(クォータイル)はデータを4等分する3つの区切り値(Q1・Q2・Q3)です。QUARTILE.INCはPERCENTILE.INCの0/25/50/75/100パーセンタイルを一つの関数で呼び出せるショートカットとも言えます。

=QUARTILE.INC(配列, 戻り値)
=QUARTILE.EXC(配列, 戻り値)
戻り値取得される値PERCENTILE.INCとの対応
0最小値=PERCENTILE.INC(配列, 0)
1第1四分位数(Q1)=PERCENTILE.INC(配列, 0.25)
2第2四分位数(Q2)=中央値=PERCENTILE.INC(配列, 0.5)
3第3四分位数(Q3)=PERCENTILE.INC(配列, 0.75)
4最大値=PERCENTILE.INC(配列, 1)
' 第1四分位数(Q1:下位25%のボーダー)
=QUARTILE.INC(A2:A100, 1)

' 第2四分位数(Q2:中央値)
=QUARTILE.INC(A2:A100, 2)

' 第3四分位数(Q3:上位25%のボーダー)
=QUARTILE.INC(A2:A100, 3)

.INCと.EXCの違い——どちらを使うべきか

INC(Inclusive)とEXC(Exclusive)の違いは、kの端点(0と1)を計算に含めるかどうかです。

項目PERCENTILE.INC / QUARTILE.INCPERCENTILE.EXC / QUARTILE.EXC
kの有効範囲0以上1以下(0と1を含む)0より大きく1より小さい(端点を除く)
QUARTILE戻り値0(最小値)と4(最大値)が使える1・2・3のみ(0・4は#NUM!エラー)
計算アルゴリズム線形補間(データ範囲の端点を含む)線形補間(端点の影響を除外)
統計学的用途一般的なExcel業務・MOS試験外れ値に敏感な統計解析や一部の教科書手法
推奨場面大半の実務・試験対策サンプル数が少なく端点除外が必要な分析

結論:一般的な業務データ分析・MOS試験対策ではPERCENTILE.INC/QUARTILE.INCを使いましょう。特別な統計学的理由がない限り、.EXCを選ぶ必要はありません。

旧関数(PERCENTILE・QUARTILE)との関係

Excel 2007以前にはPERCENTILEQUARTILEという関数名が使われていました。Excel 2010以降でPERCENTILE.INCQUARTILE.INCに改名されましたが、旧名称も後方互換で引き続き使えます。

旧関数名新関数名(Excel 2010以降)動作の変化
PERCENTILEPERCENTILE.INC同一(完全互換)
QUARTILEQUARTILE.INC同一(完全互換)

Microsoft 365・Excel 2021/2019ではPERCENTILE.INC/QUARTILE.INCの明示的な記述が推奨されます。MOS試験では新名称での操作を求められることが多いため、新名称で覚えておきましょう。

実務シナリオ別の活用パターン

シナリオ1:社員評価レポートでトップ25%のボーダーを算出する

A列に氏名・B列に評価スコアが入った100名の評価シートで、上位25%(Q3以上)に入る社員のボーダー値を求め、条件付き書式でハイライトします。

' 第3四分位数(Q3)のボーダーをE1セルに表示
=QUARTILE.INC(B2:B101, 3)

' C列に「トップ25%」フラグを立てる(E1にQ3値が入っている場合)
=IF(B2 >= $E$1, "トップ25%", "")

' 直接Q3値を埋め込む場合
=IF(B2 >= QUARTILE.INC($B$2:$B$101, 3), "トップ25%", "")

Q3値をE1に一度出しておくと、IF条件やフィルタで繰り返し参照しやすくなります。条件付き書式の「数式を使用して書式設定するセル」にも同様の数式が使えます。

シナリオ2:テスト成績の分布を四分位で確認する

クラス全員の点数をQ1・Q2・Q3に分けて分布を俯瞰し、「下位25%の底上げ対象者」を特定します。

' A2:A50に50名分の点数が入っているとき、E2:E6にQ0~Q4を一覧表示
' E2セル
=QUARTILE.INC($A$2:$A$50, 0)   ' 最低点
' E3セル
=QUARTILE.INC($A$2:$A$50, 1)   ' Q1(下位25%のボーダー)
' E4セル
=QUARTILE.INC($A$2:$A$50, 2)   ' Q2(中央値)
' E5セル
=QUARTILE.INC($A$2:$A$50, 3)   ' Q3(上位25%のボーダー)
' E6セル
=QUARTILE.INC($A$2:$A$50, 4)   ' 最高点

' B列にパーセンタイルランクを表示(その受験者が全体の何%以上か)
=PERCENTILE.INC($A$2:$A$50, COUNTIF($A$2:$A$50, "<"&A2)/49)

Q1値(下位25%のボーダー)を下回る受験者をIF条件で「要フォロー」フラグを立てれば、集中支援リストを自動生成できます。

シナリオ3:IQR法で売上データの外れ値を検出する

四分位範囲(IQR:Interquartile Range)を使った外れ値判定は、統計学的に広く使われる手法です。IQR = Q3 − Q1 とし、Q1 − 1.5×IQR を下回る値・Q3 + 1.5×IQR を超える値を外れ値とみなします。

' F1にQ1、F2にQ3、F3にIQRを算出
=QUARTILE.INC(B2:B200, 1)   ' F1: Q1
=QUARTILE.INC(B2:B200, 3)   ' F2: Q3
=F2-F1                       ' F3: IQR

' C列に外れ値フラグを立てる
=IF(B2 < $F$1 - 1.5*$F$3, "下方外れ値",
  IF(B2 > $F$2 + 1.5*$F$3, "上方外れ値", "正常"))

外れ値を含むデータでAVERAGEを使うと平均が大きく歪むため、事前にIQR法で外れ値を検出してから集計範囲を絞り込む手順が実務では有効です。

シナリオ4:箱ひげ図の元データをQUARTILE.INCで準備する

Excel 2016以降には箱ひげ図(Box and Whisker chart)が標準搭載されていますが、既存の縦棒グラフや積み上げ棒グラフで箱ひげ図を自作する場合、QUARTILE.INCで5数要約(最小値・Q1・Q2・Q3・最大値)を算出して元データとして使います。

5数要約の項目QUARTILE.INC式グラフ上の意味
最小値=QUARTILE.INC(A2:A100, 0)下ひげの先端
第1四分位数(Q1)=QUARTILE.INC(A2:A100, 1)箱の下端
中央値(Q2)=QUARTILE.INC(A2:A100, 2)箱内の中央線
第3四分位数(Q3)=QUARTILE.INC(A2:A100, 3)箱の上端
最大値=QUARTILE.INC(A2:A100, 4)上ひげの先端

これら5つの値を使って積み上げ縦棒グラフ+誤差範囲の組み合わせで箱ひげ図を自作することで、旧バージョンのExcelやPowerPointに貼り付けた際にも崩れない図表が作れます。

シナリオ5:PERCENTILE.INCで達成率の分位閾値を動的に管理する

毎月変わる売上実績データに対して「今月のトップ10%のボーダー」をPERCENTILE.INCで自動更新し、ダッシュボードのKPI表示に活用するパターンです。

' B列に当月の売上実績(行数は毎月変動)、E1に目標パーセンタイルがある場合
' OFFSET+COUNTAで可変範囲に対応
=PERCENTILE.INC(OFFSET(B2,0,0,COUNTA(B:B)-1,1), E1/100)

' 固定範囲で最新50件のみを対象にする場合(データが下に追記される前提)
=PERCENTILE.INC(OFFSET(B2,MAX(0,COUNTA(B:B)-51),0,MIN(50,COUNTA(B:B)-1),1), 0.9)

COUNTA連動の動的範囲とPERCENTILE.INCを組み合わせると、データが追記されるたびに自動で閾値が再計算されるダッシュボードが実現できます。

よくあるエラーと原因・対処法

症状・エラー主な原因対処法
#NUM!kが0未満または1を超えている/PERCENTILE.EXCでk=0またはk=1を指定したkを0.0~1.0の範囲内で指定する。.EXCでは端点除外のため0と1は指定不可
#NUM!(QUARTILE.EXC)QUARTILE.EXCで戻り値に0または4を指定したQUARTILE.EXCの戻り値は1・2・3のみ有効。最小値・最大値はQUARTILE.INCか MIN/MAX を使う
#VALUE!配列内に数値以外のテキストや空白が混入しているデータ範囲を確認し、文字列をVALUE関数で数値変換するか、エラー値をIFERRORで除外する
結果が期待と異なる.INCと.EXCで計算結果が微妙に違う(特にデータ数が少ない場合)データ数が10件以下では端点処理の差が顕著に出る。一般業務では.INCを使う
小数値が返るデータに該当パーセンタイルが整数で存在せず補間値が返っている正常動作。ROUND関数で丸めるか、そのまま表示する(補間は統計学的に正しい)
#NAME?旧関数名「PERCENTILE」「QUARTILE」をMicrosoft 365の別環境で使った場合の互換問題基本的には後方互換で動作するが、「.INC」付きの正式名称への書き換えを推奨

データに文字列が混入しているときの確認手順:① COUNT(数値のみカウント)とCOUNTA(空白以外カウント)の値を比較→差があれば数値以外が混在 → ② ISNUMBER(A2:A100)をIF条件に使って数値だけを対象範囲として渡す → ③ 元データの整形には TRIM・CLEAN・VALUE 関数を活用する。

PERCENTILE・QUARTILEと関連関数の組み合わせ早見表

やりたいこと推奨数式
上位N%のボーダー値を出す=PERCENTILE.INC(範囲, 1-N/100)
中央値を出す=PERCENTILE.INC(範囲, 0.5) または =MEDIAN(範囲)
第1・第3四分位数を出す=QUARTILE.INC(範囲, 1) / =QUARTILE.INC(範囲, 3)
四分位範囲(IQR)を計算する=QUARTILE.INC(範囲, 3)-QUARTILE.INC(範囲, 1)
下方外れ値の下限を求める=QUARTILE.INC(範囲,1)-1.5*(QUARTILE.INC(範囲,3)-QUARTILE.INC(範囲,1))
上方外れ値の上限を求める=QUARTILE.INC(範囲,3)+1.5*(QUARTILE.INC(範囲,3)-QUARTILE.INC(範囲,1))
特定値が全体の何%に位置するか(パーセンタイルランク)=COUNTIF(範囲,"<"&対象値)/COUNT(範囲)

MOS Excel試験でのPERCENTILE・QUARTILE出題ポイント

MOS Excel 365(MO-210)では、「数式や関数を使用した演算の実行」の出題範囲に統計関数が含まれます。PERCENTILE.INCとQUARTILE.INCはデータ分析の文脈で出題されることがある関数です。出題範囲に含まれます。分野別の出題数・配点は公表されていません。

  • 基本構文の正確な入力:=QUARTILE.INC(範囲, 戻り値)の引数の順番と戻り値0~4の意味を正確に把握する
  • PERCENTILE.INCのkの範囲:kは0.0以上1.0以下(パーセントではなく小数で指定)という点を覚える
  • .INCと.EXCの選択:問題文の指示に従い適切なバリアントを選べること
  • 旧関数名との互換確認:PERCENTILE / QUARTILEと.INCバリアントが同等であることを理解する
  • QUARTILE.INCの戻り値0・4:0=最小値・4=最大値という対応を覚えておく

MOS試験 PERCENTILE・QUARTILE チェックリスト

確認ポイント操作内容難易度
PERCENTILE.INCの基本入力=PERCENTILE.INC(A2:A100, 0.9)を正確に入力できる★☆☆
QUARTILE.INCの戻り値指定0~4の意味を理解して正しい戻り値を入力できる★☆☆
.INCと.EXCの使い分け問題文の指示に応じて適切なバリアントを選択できる★★☆
kのパーセント→小数変換「75パーセンタイル」と指示されたとき0.75と入力できる★★☆
QUARTILE.EXCの端点制限戻り値0・4がQUARTILE.EXCでは使えないことを知っている★★★
旧関数名との互換理解PERCENTILEとPERCENTILE.INCが同等であることを説明できる★★☆

MOS Excel 365(MO-210)の試験時間は50分、採点は1000点満点です。合格点の目安は550点~850点(試験ごとに変動)で、合格率は公表されていません。受験料は一般価格12,980円・学割価格9,680円(いずれも税込、2026年7月時点)です。学習時間の目安は、初学者で40~60時間(1日1時間なら約2か月)、業務でExcelを日常的に使っている方で20~30時間(1日1時間なら3~4週間)です。

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PERCENTILE・QUARTILE関数でExcelデータ分布を把握する|四分位数・パーセンタイル値の算出と箱ひげ図活用の実務パターンとMOS試験対策 - まとめ

まとめ:PERCENTILE・QUARTILE関数でデータ分布を業務・試験に活かす

本記事のポイントをまとめます。

  • PERCENTILE.INCの役割:配列の任意のパーセンタイル値を返す。kは0.0以上1.0以下の小数で指定
  • QUARTILE.INCの役割:戻り値0~4で最小値・Q1・Q2(中央値)・Q3・最大値を取得できるPERCENTILE.INCの特化版
  • .INCと.EXCの違い:端点を含む・含まないの違い。一般業務では.INCを使えばほぼ問題ない
  • IQR法による外れ値検出:Q1−1.5×IQR~Q3+1.5×IQR の範囲外を外れ値とみなす手法。QUARTILE.INCで実現できる
  • 5数要約と箱ひげ図:QUARTILE.INC(範囲,0)~(範囲,4)で最小値・Q1・Q2・Q3・最大値を一括取得し、箱ひげ図の元データとして使う
  • MOS試験での位置づけ:MO-210「数式や関数を使用した演算の実行」の範囲に含まれる。基本構文とkの指定方法を正確に覚える

PERCENTILE.INCとQUARTILE.INCを使いこなすと、MAXやAVERAGEでは見えなかったデータ分布の「かたち」が一目でわかるようになります。人事評価・テスト成績・売上分析・品質管理など、分布を把握したいあらゆる場面で活用できる統計関数として、ぜひ実務に取り入れてみてください。

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