「文書の途中で用紙を横向きにしたい」「第2章からページ番号を1に戻したい」「報告書の本文だけ2段組みにしたい」——Wordの長文作成でこうした悩みにぶつかったとき、解決の鍵になるのがセクション区切りです。
Wordでは1つの文書をセクションと呼ばれる区画に分割することで、余白・用紙の向き・段組み・ヘッダー・フッター・ページ番号をセクションごとに独立して設定できます。ページ区切りとは異なる概念であり、使いこなすことで長文文書や専門文書のレイアウトの自由度が格段に上がります。
本記事では、セクション区切りの種類・挿入・削除の手順から、余白の変更・縦横混在レイアウト・2段組みの部分適用・ページ番号のリセット・ヘッダーの独立設定まで実務的な操作手順を体系的に解説します。MOS Word 365試験対策にも対応しています。
セクション区切りとページ区切りの違い
Wordの「区切り」には大きく2種類あります。
| 種類 | 目的 | ページ設定の独立 |
|---|---|---|
| ページ区切り | 指定の位置で改ページする | できない(同一セクション) |
| セクション区切り | 文書を区画に分割する | できる(余白・向き・段組み等) |
ページ区切りはあくまで「次のページに移動する」ための改行操作です。余白や用紙の向きは文書全体に一律で適用されるため、ページ区切りだけでは縦横混在のレイアウトは作れません。セクション区切りを使うことで、同じ文書内でも区画ごとに異なるページ設定を持たせられます。
セクション区切りの4種類と用途
「レイアウト」タブ →「区切り」から挿入できるセクション区切りは4種類あります。
次のページから
最もよく使う種類です。セクション区切りを挿入した位置で改ページしながら、新しいセクションを次のページから始めます。用紙の向きを変えたいときや、章の頭からページ設定を切り替えたいときに使います。横向きの表ページを文書の途中に挿入する場合など、実務での用途が多いです。
現在の位置から
改ページせずに同じページ内でセクションを区切ります。段組みをページの途中から始める・途中で終わらせるときに使います。たとえば「本文の前半は1段組み、後半だけ2段組みにして資料を並べる」という場合に役立ちます。
偶数ページから
次の偶数ページからセクションを始めます。現在地が既に偶数ページの場合は1ページ空白を挟んで次の偶数ページから始まります。製本を前提とした書籍や報告書で章を必ず偶数ページから始める場合に使います。日常業務ではほとんど使いません。
奇数ページから
次の奇数ページからセクションを始めます。製本では奇数ページが右ページ(表)になるため、章の始まりを必ず右ページにそろえる場合に使います。「偶数ページから」と同様、書籍・論文など本格的な製本印刷向けの設定です。
セクション区切りを挿入・削除する手順
挿入の手順
セクション区切りを挿入したい段落にカーソルを置き、次の手順で操作します。
- 「レイアウト」タブをクリックする
- 「ページ設定」グループの「区切り」ボタンをクリックする
- 表示されるメニューから「セクション区切り」セクションの目的の種類(「次のページから」など)をクリックする
カーソルの直前でセクションが分かれ、以降のページが新しいセクションとして独立します。
段落記号を表示してセクション区切りを確認する
セクション区切りは通常は画面に表示されません。Ctrl+Shift+8(またはホームタブ →「段落記号の表示/非表示」ボタン)で段落記号を表示すると、「- – – セクション区切り(次のページから) – – -」のような記号が表示されます。作業中はこのモードにしておくと意図しない場所にセクション区切りが入っていないかを確認しやすくなります。
セクション区切りを削除する
段落記号を表示した状態でセクション区切りの記号をクリックして選択し、Deleteキーで削除します。セクション区切りを削除すると、その区切り以前のセクションが次のセクションのページ設定に統合されます。意図せず段組みや余白設定が変わることがあるため、削除後は必ずページ設定を確認してください。
セクションごとにページ余白・用紙の向きを変える
余白をセクションごとに変える手順
セクションごとに余白を変えるには、設定を変えたいセクション内にカーソルを置いてから余白を設定します。
- 変更したいセクション内にカーソルを置く
- 「レイアウト」タブ →「余白」→「ユーザー設定の余白」をクリックする
- 「ページ設定」ダイアログが開いたら「余白」タブで上・下・左・右の値を入力する
- ダイアログ下部の「設定対象」を「このセクション」に変更する
- 「OK」をクリックする
「設定対象」が「文書全体」のままだとすべてのセクションに適用されてしまいます。セクションごとに変えたい場合は必ず「このセクション」を選んでください。
用紙の向きを縦横混在させる手順
契約書の末尾に横向きの表を添付したい場合や、報告書の途中に横向きの図解ページを挿入したい場合は、次の手順でセクションごとに用紙の向きを変えます。
- 縦向きのセクションと横向きページの境界となる段落にカーソルを置く
- 「レイアウト」タブ →「区切り」→「次のページから」でセクション区切りを挿入する
- 横向きにしたいページ内にカーソルを移動する
- 「レイアウト」タブ →「印刷の向き」→「横」をクリックする。このとき自動的に「設定対象: このセクション」で適用される
- 横向きページの終わりにもセクション区切り(「次のページから」)を挿入し、その後のページは縦向きに戻す
結果として「縦向きセクション → 横向きセクション → 縦向きセクション」という3セクション構成になります。ページ設定ダイアログを使う場合は「印刷の向き」を切り替えたうえで「設定対象」を「このセクション」にする手順でも同じ結果になります。
セクション内だけに2段組みを適用する
文書全体ではなく特定の範囲だけを2段組みにするには、「現在の位置から」セクション区切りを使います。
- 2段組みを始めたい段落の先頭にカーソルを置く
- 「レイアウト」タブ →「区切り」→「現在の位置から」でセクション区切りを挿入する
- 新しいセクション内にカーソルがある状態で「レイアウト」タブ →「段組み」→「2段」をクリックする
- 2段組みを終わらせたい段落の後にも「現在の位置から」でセクション区切りを挿入し、その後のセクションを「1段」に戻す
段組みの境界を細かく調整したい場合は「段組みの詳細設定」(「段組み」→「段組みの詳細設定」)を使い、段の幅・間隔・境界線の有無を指定できます。
段組み内で列を均等に終わらせたい(両方の段の下端をそろえたい)場合は、段組みセクションの末尾に「均等な段区切り」(区切りメニューの「段区切り」→「次の段へ」ではなく「現在の位置から」の後で調整)を挿入します。ただし均等な段区切りは自動調整なので、テキスト量が変わるたびに位置が動くことに注意してください。
ページ番号をセクションごとにリセットする
本文の前に目次ページを置き、本文から1ページとしてカウントしたい、あるいは付録から別途番号を付けたい場合は、セクション区切りとヘッダー・フッターの設定を組み合わせます。
- 番号をリセットしたいページの先頭に「次のページから」でセクション区切りを挿入する
- 新しいセクションのヘッダーまたはフッター内をダブルクリックして編集状態にする
- 「ヘッダーとフッター」タブ →「ページ番号」→「ページ番号の書式設定」をクリックする
- 「開始番号」を選択し、番号(通常は1)を入力して「OK」をクリックする
この操作をするとセクション2以降のページ番号が指定の番号から始まります。目次ページにローマ数字(ⅰ、ⅱ……)、本文に算用数字(1、2……)という構成も同手順で実現できます。
ヘッダー・フッターをセクションで分離する
初期設定では、ヘッダーとフッターはすべてのセクションで同じ内容が引き継がれます。「前と同じ」状態になっているためです。セクションごとに異なるヘッダー(例:章のタイトル)を入れるには次の手順でリンクを解除します。
「前と同じ」ボタンをオフにする手順
- セクション2以降のヘッダーエリアをダブルクリックして編集状態にする
- ヘッダー内に「前と同じ」というラベルが表示されていることを確認する
- 「ヘッダーとフッター」タブ →「前と同じヘッダー/フッター」ボタンをクリックしてオフにする(ボタンの強調表示が消える)
- セクション2のヘッダーに新しい内容を入力する
「前と同じ」をオフにした後はセクション2のヘッダーが独立するため、前のセクションのヘッダーを変更しても引き継がれなくなります。ヘッダーとフッターは独立して設定できます(ヘッダーだけリンク解除してフッターは共通のままにすることも可能)。
誤ってすべてのセクションに同じ変更が入ってしまった場合は、「前と同じ」をオンにした状態で一度内容を統一してから再度オフにし直すことでリセットできます。
よくあるトラブルと解決策
| トラブル | 原因 | 解決策 |
|---|---|---|
| 向きを変えたのに文書全体が変わった | 「設定対象」が「文書全体」になっていた | ページ設定ダイアログで「設定対象」→「このセクション」に変更する |
| セクションを削除したら書式が崩れた | 削除したセクション区切りに次のセクションの設定が含まれていた | Ctrl+Zで元に戻してから設定を確認する |
| ヘッダーが全ページ同じ内容になる | 「前と同じ」がオンのまま | 変更したいセクションで「前と同じ」をオフにする |
| 2段組みの後の段落が1段に戻らない | 段組みを終わらせるセクション区切りが入っていない | 2段組みの終わりに「現在の位置から」セクション区切りを挿入し1段に設定 |
| ページ番号がリセットされない | 「前と同じ」がオンのままフッターが引き継がれている | 対象セクションで「前と同じ」をオフにしてからページ番号書式を設定する |
MOS Word 365試験での出題ポイント
セクション区切りとページ設定の操作はMOS Word 365試験の出題範囲に含まれます。分野別の出題数・配点は公表されていません。試験時間は50分、採点は1000点満点です。合格点は非公開で550点~850点が目安とされています。
合格率は公表されていません。
試験で実際に操作が問われるポイントとして、以下を繰り返し練習しておくことを勧めます。
- 「レイアウト」タブ →「区切り」から「次のページから」セクション区切りを挿入する
- 特定のセクション内で余白・向きを変更し、「設定対象」を「このセクション」にして適用する
- 段落記号を表示(Ctrl+Shift+8)してセクション区切りの位置を確認する
- セクション区切りを選択してDeleteキーで削除する
- ヘッダー内の「前と同じ」ボタンをオフにしてセクション独立のヘッダーを作成する
- 「ページ番号の書式設定」で「開始番号」を指定してリセットする
学習時間の目安(公式非公表のためハウス統一基準):初学者は40~60時間、業務でWordを使っている方は20~30時間。1日1時間のペースなら初学者で約2か月、経験者で3~4週間です。
受験料は一般価格と学割価格の2種(税込)があります。金額は改定されることがあるため、最新の受験料は公式サイトの「受験料・価格」(https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html)でご確認ください。
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MOS Word 365試験の出題範囲を網羅した対策テキスト。セクション区切りを使ったページ設定の変更・段組み設定・ヘッダーの独立など、実際の試験形式に近い問題で繰り返し練習できます。試験本番まで時間が限られている方に特に効果的です。
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Wordの基礎から長文文書の作成まで丁寧に解説した入門書。セクション区切りを使ったレイアウト設定も図解入りで理解しやすく、操作を覚えながら読み進められます。初めてWordを体系的に学ぶ方に適しています。
まとめ:セクション区切りで長文文書のレイアウトを自在に制御する
Wordのセクション区切りを使うと、同じ文書の中でページの余白・向き・段組み・ヘッダー・フッター・ページ番号を区画ごとに独立して設定できます。
- セクション区切りは「レイアウト」タブ →「区切り」→「セクション区切り」から挿入する
- 「次のページから」は改ページしながら新セクションを始める最もよく使う種類
- 「現在の位置から」はページ途中から段組みを始めるときに使う
- 余白・向きを変えるときは「ページ設定」ダイアログで「設定対象」を必ず「このセクション」にする
- 縦横混在レイアウトは「次のページから」でセクションを3つに分け、中央セクションだけを横向きにする
- 部分的な2段組みは「現在の位置から」で段組み開始と終了のセクション区切りを挿入する
- ヘッダー・フッターをセクションごとに独立させるには「前と同じ」をオフにする
- ページ番号のリセットは「ページ番号の書式設定」→「開始番号」で設定する
- セクション区切りを確認・削除するときは段落記号の表示(Ctrl+Shift+8)を使う
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