翻訳機能でWordドキュメントを多言語対応にする|テキスト選択翻訳・文書まるごと翻訳・表示言語変更の実務手順とMOS Word試験対策

「取引先から英語の契約書が届いて内容を素早く確認したい」「海外拠点向けに日本語マニュアルを英語に変換したい」——Microsoft Wordには、こうした場面で役立つ翻訳機能が標準で搭載されています。

Word 365・Word 2021・Word 2019ではインターネット接続があれば追加アドインなしにMicrosoft Translatorを利用でき、選択したテキストだけの翻訳から文書全体のブラウザ翻訳まで複数の方法を使い分けられます。本記事では、翻訳ウィンドウの操作・文書まるごと翻訳・ミニ翻訳ツールの設定・校正言語の切り替え・Office表示言語の変更まで、実務ですぐ使える手順を体系的に解説します。MOS Word試験での出題傾向チェックリストも収録しました。


翻訳機能でWordドキュメントを多言語対応にする|テキスト選択翻訳・文書まるごと翻訳・表示言語変更の実務手順とMOS Word試験対策 - 解説
目次

Wordの翻訳機能の種類と概要

Wordには翻訳に関連する機能が3種類あります。用途に応じて使い分けることが重要です。

機能名操作の起点主な用途翻訳結果の扱い
選択範囲の翻訳(翻訳ウィンドウ)校閲→言語→翻訳→選択範囲の翻訳段落・文章単位の翻訳・内容確認翻訳ウィンドウに表示。「挿入」ボタンで文書に貼り付け可能
文書の翻訳校閲→言語→翻訳→文書の翻訳文書全体をまとめて翻訳したい場合翻訳済み文書がブラウザに新しいタブで表示される(元の文書は変更されない)
ミニ翻訳ツール校閲→言語→翻訳→ミニ翻訳ツール(有効化)→テキストにポイント単語・短い語句をすぐに確認したい場合小さなポップアップで表示(文書への挿入は不可)

これらの翻訳機能はすべて「校閲」タブの「言語」グループにまとまっています。翻訳にはMicrosoft Translatorサービスを使用するため、インターネット接続が必要です。

翻訳ウィンドウで選択テキストを翻訳する

翻訳ウィンドウ(選択範囲の翻訳)は、単語・文・段落単位でピンポイントに翻訳を確認したいときに最も使いやすい方法です。翻訳結果を文書に直接挿入できるため、英文を日本語に置き換えて下書きを作る用途にも向いています。

選択範囲を翻訳する手順

  1. 翻訳したい文字列をドラッグして選択する
  2. 「校閲」タブをクリックする
  3. 「言語」グループの「翻訳」ボタンをクリックして「選択範囲の翻訳」を選択する
  4. 画面右側に「翻訳ツール」ウィンドウが表示される
  5. 「翻訳元」ドロップダウンで元の言語を確認・変更する(「自動検出」のままでも機能する)
  6. 「翻訳先」ドロップダウンで目的の言語を選択する(例:日本語、英語)
  7. 「翻訳」ボタンをクリックすると翻訳結果が下部に表示される
  8. 翻訳結果を文書内に挿入する場合は「挿入」ボタンをクリックする(選択範囲が翻訳テキストで置き換わる)

「挿入」ボタンを押すと選択範囲が翻訳テキストで上書きされます。元の文章を残したい場合はあらかじめコピーしておくか、挿入後すぐに Ctrl+Z で取り消してから別の場所に貼り付けてください。

翻訳ウィンドウの実務活用パターン

シーン手順のポイント
英文メールの要点確認意味がわからない段落を選択→翻訳先「日本語」で内容確認。「挿入」はせず、ウィンドウを閉じて元の英文のまま保持する
日本語文書を英語に翻訳して送付翻訳先「英語(米国)」または「英語(英国)」を選んで「挿入」。ネイティブによる確認・修正を経てから送付することを推奨
技術用語の対訳確認専門用語だけ選択して翻訳し、適切な英語表現を素早く調べる

文書まるごと翻訳する

「文書の翻訳」機能を使うと、開いているWord文書全体をまとめてMicrosoft Translatorで翻訳した結果を、ブラウザの新しいタブに表示できます。元のWord文書は一切変更されないため、内容を確認するだけの用途に最適です。

文書全体を翻訳する手順

  1. 翻訳したいWord文書を開く
  2. 「校閲」タブ→「言語」グループ→「翻訳」→「文書の翻訳」をクリックする
  3. 「翻訳ツール」ウィンドウが画面右側に表示される
  4. 「翻訳元」(自動検出可)と「翻訳先」の言語を設定する
  5. 「翻訳」ボタンをクリックすると確認ダイアログが表示されることがある(文書がクラウドに送信される旨の説明。「翻訳」をクリックして続行する)
  6. 規定のブラウザが起動し、翻訳済みの文書内容が新しいタブで表示される

ブラウザに表示された翻訳結果は必要に応じてコピーし、新しいWordファイルに貼り付けて利用できます。大量のテキストを含む文書では翻訳に数秒かかる場合があります。

文書の翻訳で知っておくべき注意点

注意点詳細
テキストのみ翻訳される表・テキストボックス内のテキストも翻訳されるが、図・グラフ内のテキストは翻訳されない
書式は失われる場合があるブラウザに表示された翻訳結果は書式(太字・フォントサイズ等)が一部失われる。Word文書に戻す際は再度書式を設定する
インターネット接続が必要オフライン環境では翻訳機能は動作しない
機密情報の取り扱い文書の内容はMicrosoft Translatorに送信される。機密・個人情報が含まれる文書の翻訳には社内ポリシーを確認する

ミニ翻訳ツールを設定・活用する

ミニ翻訳ツールを有効にすると、テキスト上にマウスポインターを合わせるだけで単語や短いフレーズの翻訳がポップアップ表示されます。英文文書を読みながら気になる単語を素早く確認するのに便利です。

ミニ翻訳ツールを有効にする手順

  1. 「校閲」タブ→「言語」グループ→「翻訳」→「ミニ翻訳ツール」をクリックする
  2. 言語選択ダイアログが表示されたら翻訳先の言語(例:日本語)を選択して「OK」をクリックする
  3. 「ミニ翻訳ツール」ボタンが強調表示(押された状態)になれば有効化完了
  4. 文書内の単語にマウスポインターをゆっくり合わせると翻訳ポップアップが表示される

ミニ翻訳ツールはWordを再起動しても有効状態が維持されます。不要になったら同じ手順でボタンをもう一度クリックしてオフにできます。

ミニ翻訳ツールとAlt+クリックによる辞書引き

ミニ翻訳ツールのポップアップが表示された状態で Alt キーを押しながら単語をクリックすると、「リサーチ」ウィンドウが開いて辞書・類義語辞典・百科事典などの詳細情報を参照できます。ミニ翻訳ツールとAlt+クリックを組み合わせると、英文精読の効率が大きく上がります。

校正言語を設定する(英文・日本語文の切り替え)

Wordのスペルチェックや文章校正は、テキストに設定された「校正言語」に従って動作します。日本語文書に英文段落が混在している場合や、英語文書の一部に日本語メモが含まれる場合は、それぞれのテキストに正しい校正言語を設定することでスペルミスの誤検出や見逃しを防げます。

選択テキストの校正言語を変更する手順

  1. 校正言語を変更したいテキストを選択する(例:英文段落のみ選択)
  2. 「校閲」タブ→「言語」グループ→「言語」→「校正言語の設定」をクリックする
  3. 「言語」ダイアログが開いたら、リストから目的の言語(例:「英語(米国)」)を選択する
  4. 「この言語でスペルチェックと文章校正は行わない」チェックボックスが外れていることを確認する
  5. 「OK」をクリックして閉じる

文書全体の校正言語を変更したい場合は、Ctrl+A で全テキストを選択してから同じ手順を実行します。

スタイルの既定言語を変更する

新規入力時の既定の校正言語を変更するには、「言語」ダイアログ下部の「既定として設定」ボタンをクリックします。変更内容はNormal.dotm(Wordの既定テンプレート)に保存され、以降の新規文書にも適用されます。

設定の対象手順のポイント適用範囲
選択テキストのみテキストを選択→言語ダイアログで変更→OK選択した部分のみ
文書全体Ctrl+A で全選択→言語ダイアログで変更→OK現在の文書全体
以降の新規文書言語ダイアログで変更→「既定として設定」→OKNormal.dotm を使う新規文書すべて

Officeの表示言語・ヘルプ言語を変更する

Office全体のUI(リボン・メニュー・ダイアログ等)の表示言語を変更するには、「Wordのオプション」の「言語」カテゴリを使います。この設定はWordだけでなくExcel・PowerPointなど他のOfficeアプリにも影響する場合があります。

Office表示言語を変更する手順

  1. 「ファイル」タブ→「オプション」をクリックして「Wordのオプション」ダイアログを開く
  2. 左側リストの「言語」をクリックする
  3. 「Office表示言語」セクションで使用する言語を選択して「優先として設定」をクリックするか、リストの上部に移動させる
  4. 「OK」をクリックして閉じる
  5. Wordを再起動すると変更が反映される

Microsoft 365では「Officeの言語設定」が microsoft365.com のアカウント設定と連動している場合があります。PCとサインイン先のアカウント設定を両方確認してください。

言語設定の全体像

設定の種類設定場所変更できる内容
校正言語校閲→言語→校正言語の設定スペルチェック・文章校正に使う言語(テキスト単位で設定可)
Office表示言語ファイル→オプション→言語→Office表示言語リボン・ダイアログ・メニューの表示言語
ヘルプ言語ファイル→オプション→言語→Officeヘルプ言語F1キーで開くヘルプの言語
翻訳先言語(翻訳機能)校閲→言語→翻訳→翻訳ツールウィンドウ内Microsoft Translatorの翻訳結果の言語

翻訳機能が使えない・翻訳精度を高めるためのポイント

よくある問題と対処法

症状原因対処法
「翻訳」ボタンがグレーアウトして押せないインターネット接続なし / Word試用版・一部のライセンスでは翻訳機能が無効になっているインターネット接続を確認する。Microsoftアカウントでサインインした正規ライセンスのWordを使用する
「文書の翻訳」をクリックしてもブラウザが開かない既定ブラウザが設定されていない / プロキシやセキュリティソフトがブロックしているWindowsの設定で既定ブラウザを設定する。社内ネットワークのプロキシ設定を確認する
翻訳結果が不自然・専門用語が誤訳されるAI翻訳の限界。専門用語・固有名詞・業界特有の表現は機械翻訳が苦手専門用語は固有名詞として扱われやすいよう文脈を整えてから翻訳する。重要な文書はネイティブスピーカーや翻訳者によるチェックを追加する
ミニ翻訳ツールのポップアップが表示されないマウスポインターを合わせるスピードが速すぎる / 有効化されていない有効化されているか確認(校閲→言語→翻訳→ミニ翻訳ツールが押された状態か)。ゆっくりポイントして1秒ほど待つ
翻訳先言語が毎回リセットされる設定が保存されていない言語ダイアログで言語を選択してから「OK」を押す操作をもう一度行う

翻訳精度を上げるための文書作成のコツ

機械翻訳は文章の構造が複雑なほど精度が下がります。翻訳前に以下の点を意識して文書を整えると、翻訳結果の質を上げられます。

  • 1文1メッセージ:長い複文・重文を短い文に分割する
  • 省略をなくす:主語・目的語を省略せずに明示する
  • 専門用語を統一:同じ概念を複数の言葉で表現しない(「ファイル」と「書類」など)
  • あいまいな指示語を明示:「それ」「この」などを具体的な名詞に置き換える
  • 誤字脱字を修正してから翻訳:スペルミスがあると誤訳の原因になる

MOS Word試験での翻訳・言語設定の出題ポイント

MOS Word試験では、文書管理・言語・校正に関連する操作が出題範囲に含まれます。翻訳機能と言語設定の操作経路を確実に押さえておきましょう。

翻訳・言語設定 MOS対策チェックリスト

#確認項目操作の起点確認
1「校閲」→「言語」→「翻訳」→「選択範囲の翻訳」で翻訳ウィンドウを開ける校閲→言語→翻訳
2翻訳ウィンドウの「翻訳元」「翻訳先」を任意の言語に変更できる翻訳ツールウィンドウ内
3翻訳結果を「挿入」ボタンで文書内のテキストと置き換えられる翻訳ツールウィンドウ「挿入」ボタン
4「文書の翻訳」でブラウザに翻訳結果を表示できる校閲→言語→翻訳→文書の翻訳
5「ミニ翻訳ツール」を有効化・言語設定できる校閲→言語→翻訳→ミニ翻訳ツール
6選択したテキストの「校正言語の設定」を変更できる校閲→言語→言語→校正言語の設定
7「Wordのオプション」→「言語」でOffice表示言語の優先順位を変更できるファイル→オプション→言語

試験で出題された場合は「校閲タブの言語グループ」から操作を開始することを必ず覚えておきましょう。試験ではリボン上のボタンを直接クリックして操作する問題が多く、メニューの階層を正確に辿る練習が有効です。

MOS Word試験の試験時間は50分・採点は1000点満点です。合格点は公表されていませんが550点~850点が目安といわれています。出題形式は5個~10個のプロジェクトで構成されます。合格率は公表されていません。受験料は一般価格・学割価格の2種類(税込)がありますが金額は改定されることがあるため、最新の情報は公式サイトの「受験料・価格」(https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html)でご確認ください。


翻訳機能でWordドキュメントを多言語対応にする|テキスト選択翻訳・文書まるごと翻訳・表示言語変更の実務手順とMOS Word試験対策 - まとめ

まとめ:翻訳機能と言語設定をWordで使いこなすポイント

本記事の要点を整理します。

  • 翻訳機能は3種類:「選択範囲の翻訳(翻訳ウィンドウ)」「文書の翻訳(ブラウザ表示)」「ミニ翻訳ツール」を用途別に使い分ける
  • 翻訳ウィンドウは「校閲→言語→翻訳」から:選択テキストの翻訳と文書への挿入が1ステップで完結する
  • 文書の翻訳は元の文書を変更しない:ブラウザで確認用に表示するだけなので元文書は安全
  • ミニ翻訳ツールは事前有効化が必要:校閲→翻訳→ミニ翻訳ツールをクリックしてオンにしてから言語を設定する
  • 校正言語はテキスト単位で設定できる:英文段落・日本語段落を混在させる文書ではそれぞれに正しい校正言語を設定することでスペルチェックが正確になる
  • Office表示言語はオプションで管理:「ファイル→オプション→言語」でUI言語の優先順位を変更できる
  • MOS試験対策:「校閲タブ」の「言語グループ」の操作経路と各メニュー項目の役割を実際に操作して確認しておく

Wordの翻訳機能はインターネット接続さえあれば追加費用なく使えます。日常業務で英文メールの確認・外国語文書の内容把握・多言語対応文書の下訳作成などに積極的に活用してみてください。機械翻訳の精度を補うためにも、重要文書は必ず専門家による最終確認を経ることをお勧めします。

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