ExcelのCONVERT関数は、長さ・重量・温度・速度・面積など多様な単位を1つの数式で自動変換できる工学系関数です。グローバルなデータを扱う実務では「ft(フィート)表示の図面をm(メートル)に直したい」「lb(ポンド)表記の製品仕様をkg換算で一覧したい」といった場面が少なくありません。CONVERT関数を使えば、変換係数を暗記したり手計算で間違えたりするリスクをゼロにできます。本記事ではCONVERT関数の基本構文、よく使う単位コードの早見表、実務での活用パターン(想定例)、そしてMOS Excel 365 エキスパート(MO-211)試験における関連ポイントまでを体系的に解説します。

CONVERT関数とは?基本構文の確認
CONVERT関数はExcel 2003以降に搭載されている数式関数で、Excel 365でも引き続き利用できます。構文は次のとおりです。
=CONVERT(数値, 変換前の単位コード, 変換後の単位コード)
| 引数 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 数値 | 変換したい値(数値またはセル参照) | 100、A2 |
| 変換前の単位コード | 元の単位を表す文字列(大文字小文字の区別あり) | m(メートル) |
| 変換後の単位コード | 変換後の単位を表す文字列 | ft(フィート) |
たとえば100メートルをフィートに変換するには次のように書きます。
=CONVERT(100, m, ft)
結果は約328.08と表示されます。
注意点:単位コードは大文字小文字を区別します。M(メガ)とm(メートル)は異なるコードです。異なるカテゴリ間の変換(例:長さ→重量)を指定すると#N/Aエラーになります。
変換カテゴリ別・単位コード早見表
CONVERT関数で使える単位コードは公式のExcel関数リファレンスに一覧が掲載されています。以下に実務でよく使うカテゴリを抜粋します。
長さ
| 単位コード | 単位名 |
|---|---|
m |
メートル |
cm |
センチメートル(接頭語c+m) |
km |
キロメートル(接頭語k+m) |
ft |
フィート |
in |
インチ |
mi |
マイル(法定マイル) |
yd |
ヤード |
Nmi |
海里(ノーティカルマイル) |
重量・質量
| 単位コード | 単位名 |
|---|---|
kg |
キログラム |
g |
グラム |
lbm |
ポンド(質量) |
ozm |
オンス(質量) |
stone |
ストーン(英国の体重単位) |
ton |
ショートトン(米国) |
uk_ton |
ロングトン(英国) |
温度
| 単位コード | 単位名 |
|---|---|
C |
摂氏(セルシウス) |
F |
華氏(ファーレンハイト) |
K |
ケルビン |
Rank |
ランキン |
速度
| 単位コード | 単位名 |
|---|---|
m/s |
メートル毎秒 |
mph |
マイル毎時(miles per hour) |
kn |
ノット |
面積・体積
| 単位コード | 単位名 |
|---|---|
m2 |
平方メートル |
ft2 |
平方フィート |
ha |
ヘクタール |
acre |
エーカー |
l |
リットル |
pt |
パイント(US液量) |
gal |
ガロン(US液量) |
接頭語(SI接頭語)の組み合わせ
単位コードの前に接頭語を付けることで倍量・分量単位を指定できます。
| 接頭語 | 記号 | 倍率 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| キロ | k |
10³ | km(キロメートル) |
| センチ | c |
10⁻² | cm(センチメートル) |
| ミリ | m(小文字) |
10⁻³ | mm(ミリメートル) |
| マイクロ | u |
10⁻⁶ | ug(マイクログラム) |
なお、接頭語は「長さ」「重量」「圧力」などの特定カテゴリにのみ適用可能です。温度コード(C/F/K)には使えないため注意してください。
実務で使えるCONVERT関数の活用パターン(想定例)
以下は一般的な業務シナリオを想定した利用例です。架空の設定として記載します。
長さの変換:建築・設備図面の単位統一(想定例)
海外メーカーの設備仕様書にフィートで記載された寸法をメートル換算一覧にする場面を想定します。A列に「フィート」表記の数値が並んでいる場合、B列に次の数式を入力します。
=CONVERT(A2, ft, m)
| A列(フィート) | B列(メートル換算) |
|---|---|
| 10 | =CONVERT(A2,ft,m) → 3.048 |
| 50 | =CONVERT(A3,ft,m) → 15.24 |
| 100 | =CONVERT(A4,ft,m) → 30.48 |
数式を下方向にコピーするだけで変換が完了します。係数の暗記は不要です。
重量の変換:輸入食品・原材料の規格統一(想定例)
米国向け出荷仕様書ではポンド(lbm)表記が一般的です。国内管理帳票をkg統一にする場合:
=CONVERT(A2, lbm, kg)
1ポンド=約0.4536kgです。オンス(ozm)からグラム(g)への換算も同様に書けます。
=CONVERT(A2, ozm, g)
温度の変換:品質管理・設備ログの整理(想定例)
海外の冷蔵・冷凍設備ログが華氏(F)で記録されている場合、摂氏(C)に変換して国内基準と照合します。
=CONVERT(A2, F, C)
華氏32度は摂氏0度、華氏212度は摂氏100度と変換されます。
速度の変換:配送ルート・船舶運行管理(想定例)
米国向け配送情報にはmph表記が使われることがあります。国内のkm/h換算に直すには:
=CONVERT(A2, mph, m/s) * 3.6
または経由して計算します。CONVERT関数に「km/h」という直接コードはありませんが、m/s経由で換算できます。
=CONVERT(A2, mph, m/s)
この結果(m/s)に3.6を掛けるとkm/hになります。
補足:Excelにはkphやkm/hの直接コードがないため、m/sを経由する2ステップ計算か、別セルで変換係数を管理する設計が一般的です。
面積の変換:不動産・農業・海外取引(想定例)
米国の不動産情報には面積をエーカーで表記する場合があります。平方メートルに換算するには:
=CONVERT(A2, acre, m2)
1エーカーは約4046.86m²です。ヘクタール換算も可能です。
=CONVERT(A2, acre, ha)
CONVERT関数と他の関数を組み合わせた応用(想定例)
CONVERT関数は他の関数と組み合わせると表現の幅が広がります。
TEXT関数との組み合わせ:単位付き文字列の生成
=TEXT(CONVERT(A2,ft,m),0.00)&m
変換結果に単位テキストを付加して「3.05m」のような表示にできます。
ROUND関数との組み合わせ:桁数の統一
=ROUND(CONVERT(A2,lbm,kg),2)
変換後の数値を小数点以下2桁に丸め、帳票での見た目を統一します。
IF・IFERROR関数との組み合わせ:エラー処理
=IFERROR(CONVERT(A2,ft,m),単位入力を確認)
単位コードの入力ミスによる#N/Aエラーを「単位入力を確認」と表示して視認性を上げます。
CONVERT関数のよくあるつまずきと対処法
以下は一般的によく見られるつまずきのパターンです。
つまずき1:#N/Aエラーが表示される
原因:単位コードの誤記か、異なるカテゴリ間の変換指定が原因です。
- 大文字小文字の誤り:
KG(誤)→kg(正) - カテゴリ混在:長さコードと重量コードを混在させると常に#N/Aになります
- 接頭語の誤適用:温度コードに接頭語は使えません(
kCは不正)
つまずき2:#VALUE!エラーが出る
原因:「数値」引数に文字列が入っている場合に発生します。元データに「100 ft」のように単位が文字列で混在していると変換できません。VALUE関数で数値化するか、データクレンジングが必要です。
つまずき3:km/hが直接変換できない
原因:ExcelのCONVERT関数はkm/hを単位コードとして持ちません。m/sを経由するか、別の計算式で補います。これは仕様であり、バグではありません。
つまずき4:計算結果がわずかにずれる
原因:浮動小数点演算の精度によるものです。財務計算では許容されない場合があるため、ROUND関数と組み合わせて桁数を制御してください。
MOS Excel 365 エキスパート(MO-211)での出題ポイント
CONVERT関数はMOS Excel 365 エキスパート(MO-211)の出題範囲「高度な機能を使用した数式およびマクロの作成」に含まれます。分野別の出題数・配点は公表されていません。
試験対策として押さえておくポイントは次のとおりです。
- CONVERT関数の構文(引数の順序:数値・変換前・変換後)を正確に書ける
- よく使う単位コード(
m/ft/kg/lbm/C/F)を手打ち入力できる - IFERROR関数との組み合わせでエラー処理を追加できる
- Text関数との組み合わせで単位文字列付きの表示が作れる
試験はマルチプロジェクト形式(5個~10個のプロジェクトで構成されます)のため、問われる操作に迅速に対応する入力速度の訓練も重要です。
エキスパート試験の学習目安時間
アソシエイト(MO-210)に合格済みの方が追加でエキスパートを目指す場合、一般的には追加で60~100時間が目安とされています(公式非公表のため目安として示します)。1日1時間程度の学習ペースであれば2~3か月程度が想定されます。受験料の金額は改定されることがあるため、最新の受験料は公式サイトの「受験料・価格」(https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html)でご確認ください。
アソシエイト(MO-210)との関係
MOS Excel 365 一般レベル(MO-210)の出題範囲5領域(「ワークシートやブックの管理」「セルやセル範囲のデータの管理」「テーブルとテーブルのデータの管理」「数式や関数を使用した演算の実行」「グラフの管理」)には、CONVERT関数は含まれません。一般レベルの学習段階ではSUM・AVERAGE・IF・COUNT系の基本関数を優先し、CONVERT関数はエキスパート対策として取り組む設計が効率的です。

まとめ:CONVERT関数で「係数の暗記」から解放される
- CONVERT関数の構文は
=CONVERT(数値, 変換前コード, 変換後コード) - 長さ・重量・温度・速度・面積など多カテゴリに対応
- 単位コードは大文字小文字を区別するため正確な入力が必要
- IFERROR・ROUND・TEXTと組み合わせることで実務品質の数式に仕上がる
- 異なるカテゴリ間の変換は#N/Aになるため、カテゴリ確認が必須
- MOS Excel 365 エキスパート(MO-211)の「高度な機能を使用した数式およびマクロの作成」範囲に出題
グローバル調達・海外設計データとのやり取りが増える業務環境で、CONVERT関数は変換係数の暗記ミスや手計算の誤りを防ぐ実用ツールです。まず身近な変換(kg↔lbm、m↔ftなど)から試してみてください。
PR
CONVERT関数を含むExcel 365の関数を実務視点で解説した一冊。よく使う関数の単位コード一覧や組み合わせパターンも掲載されており、MOS試験対策の副読本としても活用しやすい。
PR
業務頻度の高い関数を優先度順に整理した実践書。CONVERT関数が使われる場面と、データ整形・型変換系の関数を体系的に学べるため、エキスパート試験対策にも対応できる。
MOS Excel 365 エキスパートの試験対策はこちら
当サイトでは、MOS Excel 365 エキスパート(MO-211)の出題範囲を網羅した解説記事を順次公開しています。CONVERT関数と合わせて、LAMBDA関数・LET関数・動的配列関数の記事もご活用ください。
