マップグラフでExcel地域別データを視覚化する|都道府県・国別の色分け・データ設定・系列編集の実務手順とMOS Excel試験対策
「地域別の売上を地図で見たい」「都道府県ごとのデータを一目で比較したい」——そんな場面で力を発揮するのが、Excel 365に搭載されたマップグラフ(地域付きマップ)です。
マップグラフを使えば、都道府県名や国名が入ったセル範囲を選ぶだけで、データを色の濃淡で表現した地図グラフを数ステップで作成できます。従来はPower BIや専用ツールが必要だった地理的な可視化を、普段使いのExcelで実現できる点が大きな特長です。
本記事では、データ形式の整え方から、グラフ挿入・色設定・ラベル追加の実務手順までを順を追って解説します。MOS Excel試験の「グラフの管理」に関連する操作としても活用できる内容です。

マップグラフとは
マップグラフは、地名(都道府県・国・地域)と数値データを組み合わせて、地図上に色の濃淡でデータを表現するグラフです。Excel 365(Microsoft 365)で利用できます。
主な活用場面は次のとおりです。
- 都道府県別の売上・来店数・シェア比較
- 国別の市場規模・輸出量・顧客数の可視化
- エリア別の人口・顧客密度・点数分布の把握
- プレゼン資料・経営レポートでの地域差の視覚的な表現
棒グラフや折れ線グラフと異なり、データの「場所」に意味を持たせて比較できる点が強みです。
マップグラフを作る前に確認すること
マップグラフを正しく描画するには、地名の書き方が重要です。ExcelはBingの地図サービスと照合して地名を座標に変換するため、Excelが認識できる形式で地名を入力する必要があります。
都道府県名の書き方
日本の都道府県を使う場合は、以下の点を守ってください。
- 「東京都」「大阪府」「神奈川県」「北海道」など、正式名称(○○都・○○道・○○府・○○県)で入力する
- 「東京」「大阪」のように「都・府・道・県」を省略すると認識されないことがある
- 列全体を同じ国の地名でまとめる(都道府県と国名を混在させない)
国名の書き方
- 日本語の正式国名(「アメリカ合衆国」「中華人民共和国」等)または英語国名(「Japan」「United States」等)のどちらでも動作する
- 略称(「米国」「中国」)は認識されないことがあるため、正式名称を使う
インターネット接続が必要
マップグラフの描画には、Bingの地図サービスへのアクセスが必要です。オフライン環境では地図が表示されない場合があります。
実務手順:マップグラフを作成する
手順① データを準備する
以下の形式でデータを用意します。
| A列(地名) | B列(数値) |
|---|---|
| 都道府県 | 売上 |
| 北海道 | 3250000 |
| 東京都 | 9800000 |
| 大阪府 | 6450000 |
| 愛知県 | 4120000 |
| 福岡県 | 2980000 |
ポイントは次のとおりです。
- 1行目はヘッダー行(「都道府県」「売上」などのラベル)にする
- 地名列と数値列を隣接させる(途中に空列を挟まない)
- 数値はカンマや単位(円、件)を含めず、純粋な数値のみ入力する
手順② データ範囲を選択してグラフを挿入する
- 地名と数値のデータ範囲(ヘッダー行を含む)をすべて選択する
- リボンの「挿入」タブをクリックする
- 「グラフ」グループの「マップ」ボタンをクリックする
- プルダウンメニューから「地域付きマップ」を選択する
Excelが地名を解析し、数秒でマップグラフが描画されます。地名の認識に時間がかかる場合は、インターネット接続を確認してください。
手順③ データ系列の書式を設定する
グラフを右クリック→「データ系列の書式設定」を開くと、表示方法の細かな設定が行えます。
系列のオプションで設定できる主な項目:
- 地図の投影:「自動」「メルカトル」「アルベルス等積」などを選択する(日本地図なら「自動」で問題ない)
- 地図の領域:「データのある地域のみ」「国内全域」「世界全域」から選択する
- 地図のラベル:「なし」「優先のみ」「すべて」から選択する
塗りつぶしセクションでは、色スキームを変更できます。デフォルトは青のグラデーションですが、「グラデーションの塗りつぶし」から開始色・終了色をカスタマイズできます。
手順④ グラフタイトルと凡例・データラベルを整える
- グラフタイトル:グラフ右上の「+」(グラフ要素)をクリック→「グラフタイトル」にチェックを入れ、タイトルをクリックして編集する
- 凡例:同じく「グラフ要素」から「凡例」をオンにし、表示位置(右・左・上・下)を選ぶ
- データラベル:「グラフ要素」→「データラベル」をオンにすると、地図上に数値やラベルが表示される(表示が密集する場合は「地図のラベル:優先のみ」に設定する)
手順⑤ グラフのサイズと位置を調整する
- グラフの四隅・辺をドラッグしてサイズを変更できる
- グラフ枠をドラッグして任意の位置に移動できる
- 「書式」タブの「サイズ」グループで縦横を数値で指定できる
色設定のパターンと活用例
パターン①:2色グラデーション(低値=薄色、高値=濃色)
最もよく使われるパターンです。「データ系列の書式設定」→「塗りつぶし(グラデーション)」で、最小値の色を白または薄い色、最大値の色を濃い色に設定します。数値の高低が色の濃淡で直感的に伝わります。
パターン②:3色グラデーション(中央値を基準に色分け)
「グラデーションの分岐点」を3点設定することで、平均付近は白・低値は青系・高値は赤系といった表現が可能です。業績評価や目標達成率の地域分布を示すときに向いています。
パターン③:地図領域を「国内全域」に設定する
データがない都道府県も含めて日本地図全体を表示したい場合は、「地図の領域」を「国内全域」に設定します。データがない地域は「値なし」の色(デフォルトは薄いグレー)で表示されます。
よくある問題と対処法
Q:地名が認識されず、グレーで表示されてしまう
次の原因が考えられます。
- 地名の表記が正式名称でない(「東京」→「東京都」に修正)
- インターネット接続が切れている
- セルに余分なスペースや記号が混在している(TRIM関数でスペースを除去する)
- 数値列と地名列の順序が逆になっている
Q:国別グラフで一部の国が認識されない
英語の正式国名(「South Korea」「United Arab Emirates」等)に統一するか、日本語の正式国名に変更します。台湾・香港などは国として認識されない場合があります。
Q:グラフが小さくて地名が見えない
グラフサイズを拡大するか、「地図のラベル:なし」に設定してラベルなしで使用します。詳細データは別途テーブルで示す構成が、実務では読みやすくなります。
Q:「マップ」ボタンが表示されない・グレーになっている
Excel 2016以前のバージョン、またはボリュームライセンス版では機能が制限されている場合があります。Microsoft 365サブスクリプション版を最新に更新することで利用可能になります。
Q:データを更新してもグラフに反映されない
グラフを選択した状態で右クリック→「データの選択」を開き、データ範囲を再確認してください。テーブル機能(「挿入」→「テーブル」)でデータ範囲をテーブル化しておくと、行を追加した際にグラフが自動拡張されて便利です。
MOS Excel試験との関係
MOS Excel 365 一般レベル(MO-210)の出題範囲のひとつに「グラフの管理」があります。グラフの挿入・編集・書式設定・グラフ要素の操作はこの領域に含まれます。マップグラフを含む各グラフ種類ごとの出題数・配点は公表されていません。
公式が公表している試験概要は以下のとおりです。
- 試験時間:50分
- 採点:1000点満点
- 合格点:非公開(550点~850点が目安とされています)
- 出題形式:5個~10個のプロジェクトで構成されます。各プロジェクトに1~7個の小問が含まれます
- 合格率:公表されていません
受験料は改定される場合があります。受験前に公式サイトの「受験料・価格」(https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html)で最新情報をご確認ください。
MOS試験の学習時間の目安
MOS Excel 365 一般レベル(MO-210)の学習時間の目安(いずれも目安です):
- Excelをほとんど使ったことがない方:40~60時間
- 業務でExcelを日常的に使っている方:20~30時間
1日1時間のペースで学習した場合、初学者の方は約2か月、業務経験者の方は3~4週間が目安です。
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まとめ
Excelのマップグラフは、地名と数値を組み合わせるだけで地理的なデータ分布を色の濃淡で表現できる強力なグラフです。都道府県別・国別の比較をプレゼン資料に組み込む際に、棒グラフでは伝えにくい「場所の差異」を視覚的に示せます。
作成のポイントは地名の正式表記とインターネット接続の2点です。認識されない地名はTRIM関数や正式名称への修正で解消できます。
MOS Excel試験の「グラフの管理」対策としても、グラフ挿入・データ系列の書式設定・グラフ要素の操作は繰り返し練習しておきたい操作群です。実際の業務データを使いながらマップグラフを作成することで、グラフ操作全般の理解が深まります。
