「商談のステージごとの件数を棒グラフで見せたい」「採用フローのどこで候補者が脱落しているかを一目で確認したい」――そんなとき、Excelの漏斗グラフが力を発揮します。漏斗グラフは、プロセスの各ステップの数値を段階的な帯で表示する棒グラフの一種で、上から下へ件数が減っていく様子を視覚的に示します。
本記事では、漏斗グラフの基本概念・Excel 365での挿入手順・データの準備方法・営業パイプライン/採用フロー/Webコンバージョン分析など実務シナリオ別の活用例・デザインのカスタマイズ手順・よくあるつまずきと対処法・MOS Excel試験との関連を体系的に解説します。
漏斗グラフとは
漏斗グラフ(英:Funnel Chart)は、段階的に数が絞り込まれていくプロセスを表現するグラフです。グラフの帯が上から下へ縮まっていく見た目が漏斗(じょうご)に似ていることから「漏斗グラフ」と呼ばれます。Excel 2019およびMicrosoft 365以降で標準機能として利用できます。
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| 用途 | 各ステージの件数推移・通過率・離脱率の把握 |
| 軸の構成 | 縦軸にプロセスのステージ名、横軸に各ステージの値(件数・金額など) |
| 値の並び | 上から下に向かって値が大きいものを先頭にするのが一般的 |
| 利用可能バージョン | Excel 2019 / Microsoft 365(Excel 2016以前は非対応) |
| 同種グラフとの違い | 積み上げ棒グラフと異なり、各ステージを独立した帯として表示するため比較が容易 |
漏斗グラフに適したデータ構成
漏斗グラフを正しく作成するためには、2列構成の単純な表を用意するだけで十分です。1列目にステージ名(ラベル)、2列目に各ステージの値を入力します。
| 列 | 内容 | 記入例(営業パイプライン) |
|---|---|---|
| A列(ラベル) | ステージ名 | 初回接触、ニーズ確認、提案、見積、受注 |
| B列(値) | 各ステージの件数・金額 | 200, 120, 80, 45, 20 |
データ準備のポイント
- 値は降順に並べる:漏斗グラフは値が大きいものを上に配置することで、上から下への絞り込みが視覚的に伝わります。値を昇順に並べると「逆漏斗」になるため、通常は降順に入力します
- ヘッダー行を含める:先頭行にラベル列・値列の見出しを入れておくと、グラフ挿入時に系列名と項目名が自動で設定されます
- 空白行を入れない:表の途中に空白行があるとグラフ範囲が正しく認識されないため、データは連続した範囲に入力します
漏斗グラフの挿入手順(Excel 365)
リボンから挿入する方法
- ステージ名と値を含む表全体(ヘッダー行含む)を選択する(例:A1:B6)
- 「挿入」タブをクリックする
- 「グラフ」グループの「ウォーターフォール、じょうご、株価グラフ、等高線グラフ、レーダーチャートの挿入」ボタン(縦棒グラフに似たアイコン)をクリックする
- ドロップダウンに表示された「じょうご」アイコンを選択する
- シート上に漏斗グラフが挿入される
Excel 365では「じょうご」という名称で表示されますが、一般的には「漏斗グラフ」「ファネルグラフ」とも呼ばれます。
グラフの種類の変更から挿入する方法
すでに別のグラフが作成されている場合、グラフを右クリックして「グラフの種類の変更」→「じょうご」を選択することで漏斗グラフに変換できます。
- 変換したいグラフ上で右クリックする
- 「グラフの種類の変更」をクリックする
- 「グラフの種類の変更」ダイアログの左側一覧から「じょうご」を選択する
- 「OK」をクリックして変換する
実務シナリオ別の活用パターン
パターン①:営業パイプラインの可視化
営業活動では、見込み客が「初回接触→ニーズ確認→提案→見積提出→受注」という各ステージを経て絞り込まれます。各ステージの件数を漏斗グラフにすると、どのステージで最も多くの案件が脱落しているかが一目でわかります。
想定例(架空データ):あるチームの月次パイプラインを可視化するとします。
| ステージ | 件数(想定例) | 前ステージからの通過率 |
|---|---|---|
| 初回接触 | 200 | ―― |
| ニーズ確認 | 120 | 60% |
| 提案 | 80 | 67% |
| 見積提出 | 45 | 56% |
| 受注 | 20 | 44% |
この想定例では「初回接触→ニーズ確認」の通過率が60%と最も低く、初期フォローアップに課題があると読み取れます。漏斗グラフにすると帯の幅が急に狭くなる箇所が視覚的に浮き上がり、改善すべきステージを素早く特定できます。
パターン②:採用フローの管理
採用プロセスでは「応募→書類選考→一次面接→最終面接→内定」の各ステージで候補者数が絞り込まれます。漏斗グラフを用いると、どのステージで候補者が脱落しているかを人事担当者や経営者に視覚的に伝えられます。
| ステージ | 人数(想定例) |
|---|---|
| 応募 | 300 |
| 書類選考通過 | 90 |
| 一次面接通過 | 30 |
| 最終面接通過 | 10 |
| 内定承諾 | 6 |
上記はあくまで架空の想定例です。実際の採用データで漏斗グラフを作成することで、応募から内定承諾までのどのステップに課題があるかを確認できます。
パターン③:Webサイトのコンバージョン分析
Webマーケティングでは「ランディングページ閲覧→フォーム表示→フォーム送信→確認ページ→完了ページ」という流れでユーザーが絞り込まれます。Googleアナリティクスなどから取得したデータをExcelに貼り付けて漏斗グラフにすると、離脱の多いステップが視覚的に明確になります。
パターン④:製品不良の工程管理
製造ラインで「投入→工程1→工程2→工程3→出荷検査合格」という流れで良品数が減っていく状況も漏斗グラフで表現できます。どの工程で不良が発生しているかを可視化し、品質改善活動の優先順位付けに活用できます。
グラフのデザインカスタマイズ
データラベルの追加
漏斗グラフにデータラベルを追加すると、帯の上に値が直接表示され、グラフだけで数値が確認できるようになります。
- グラフをクリックして選択する
- グラフ右上に表示される「+」ボタン(グラフ要素の追加)をクリックする
- 「データラベル」にチェックを入れる
- ラベルの位置を「中央」にするか「外側」にするかを、ラベルをクリック→右クリック→「データラベルの書式設定」から調整する
系列の色変更
全ての帯を同じ色にするか、ステージごとに色分けするかを選べます。ステージごとに色を変えると各段階の個性が際立ち、特定のステージを強調するのに有効です。
- グラフ内の帯(データ系列)をクリックして系列全体を選択する
- 変更したい特定の帯だけを変える場合は、もう一度その帯だけをクリックして個別選択する
- 右クリック→「データ要素の書式設定」をクリックする
- 「塗りつぶし」セクションで任意の色を設定する
グラフタイトルの編集
グラフタイトルをダブルクリックすると編集モードになります。「2026年10月 営業パイプライン状況」のように期間・内容を明示すると、報告書やダッシュボードに埋め込んだときに意味が明確に伝わります。
グラフサイズの調整
グラフの四隅や辺のハンドルをドラッグしてサイズを変更できます。ステージ数が多い場合は縦方向に広げると各帯が見やすくなります。縦横比は報告書のレイアウトに合わせて調整します。
パーセンテージの表示(補助列を使う方法)
Excelの漏斗グラフ標準機能ではステージ間のパーセンテージを直接表示できません。通過率を表示したい場合は、補助列にパーセンテージを計算して表内に追加し、データラベルの参照元を補助列に切り替える方法が一般的です。
- C列にパーセンテージを計算する(例:C3 = B3/B2 の形式で前ステージ比を算出する)
- グラフのデータラベルをダブルクリックして「データラベルの書式設定」を開く
- 「セルの値」にチェックを入れ、パーセンテージを入力したC列の範囲を指定する
- 「値」のチェックを外してパーセンテージのみ表示するか、両方残すかを選択する
よくあるつまずきと対処法
| 症状 | 主な原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 「じょうご」が選択肢に表示されない | Excel 2016以前のバージョンを使用している | Excel 2019またはMicrosoft 365(Excel 365)にアップグレードする。Excel 2016以前はじょうごグラフに非対応 |
| 帯が上から下へ広がる(逆向き) | データが昇順に並んでいる | データを降順に並べ直す。最も大きい値を表の一番上の行に配置する |
| グラフが棒グラフになってしまう | グラフの種類の選択時に「集合縦棒」や「集合横棒」を選んでしまった | グラフを右クリック→「グラフの種類の変更」→「じょうご」を選び直す |
| ステージ名がグラフに表示されない | データ選択時にラベル列(A列)を含めていない | グラフを右クリック→「データの選択」→「水平(分類)軸ラベル」の「編集」からラベル範囲を指定する |
| 値がパーセンテージで表示される | 値列のセルが「パーセンテージ」書式になっている | 値列を選択して「ホーム」タブ→「数値」グループで書式を「数値」に変更する |
| グラフに不要な系列が追加される | パーセンテージ補助列もグラフ範囲に含まれてしまった | グラフを右クリック→「データの選択」→不要な系列を削除する |
漏斗グラフとほかのグラフの使い分け
| グラフの種類 | 向いている用途 | 漏斗グラフとの違い |
|---|---|---|
| 漏斗グラフ(じょうご) | プロセスの各ステージの絞り込み・通過率の可視化 | ――(基準) |
| 集合横棒グラフ | 複数カテゴリの値の比較 | ステージ間の「絞り込み」概念は表現しにくい。凡例や色で系列を区別する |
| 積み上げ横棒グラフ | 全体に占める各部分の割合の比較 | 合計値が異なる複数のプロセスを並べたいときに有効。単一プロセスの絞り込みは漏斗グラフが適切 |
| ウォーターフォールグラフ | 増減の累積推移(利益の積み上げ・差し引きなど) | プラス・マイナスの差分を表現する。プロセスの絞り込みではなく「増加・減少」の流れを示す |
「ステップをたどるにつれて件数や金額が減っていく」という場面には漏斗グラフが最も直感的に伝わります。複数の期間や複数のチームを比較する場合は、系列を追加するか、複数の漏斗グラフを並べる方法が適しています。
MOS Excel試験での漏斗グラフ出題ポイント
漏斗グラフは、MOS Excel 365 一般レベル(MO-210)の出題範囲「グラフの管理」に含まれるグラフ種別のひとつです。出題形式マルチプロジェクトでは、指定のデータ範囲を選択した状態でじょうごグラフを挿入する・グラフタイトルを変更する・データラベルを追加するといった操作が設問として想定されます。
試験時間は50分、採点は1000点満点です。合格点は公表されていませんが550点~850点が目安とされています。学習時間の目安(公式非公表)は、初学者で40~60時間、業務でExcelを使っている方で20~30時間です。1日1時間のペースなら初学者で約2か月、経験者で3~4週間が目安になります。
MOS試験 漏斗グラフ関連チェックリスト
| 確認ポイント | 操作内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| グラフの挿入 | データ範囲を選択し「じょうご」グラフを正しく挿入できる | ★☆☆ |
| グラフの種類の変更 | 既存グラフを「じょうご」に変換できる | ★☆☆ |
| グラフタイトルの編集 | グラフタイトルをダブルクリックして指定のテキストに変更できる | ★☆☆ |
| データラベルの追加 | 「+」ボタンまたはリボンからデータラベルを追加できる | ★★☆ |
| データ範囲の変更 | グラフのデータ範囲を「データの選択」から編集できる | ★★☆ |
| グラフの移動とサイズ変更 | グラフを指定のシートへ移動したり、特定セル範囲に合わせてリサイズできる | ★★☆ |
| 系列の書式設定 | 特定のデータ要素の塗りつぶし色を変更できる | ★★☆ |
じょうごグラフの挿入先ボタンは「ウォーターフォール、じょうご、株価グラフ、等高線グラフ、レーダーチャートの挿入」に格納されており、アイコンを見ただけでは直感的にわかりにくい場合があります。試験本番前に挿入経路を繰り返し確認しておくことが重要です。
まとめ:漏斗グラフでプロセスの絞り込みを一目で把握する
本記事のポイントをまとめます。
- 漏斗グラフの役割:プロセスの各ステージを経て件数・金額が絞り込まれていく様子を段階的な帯で表現するグラフ。Excel 2019 / Microsoft 365から利用可能
- データ準備:ステージ名と値の2列構成の表を用意し、値を降順(大きい順)に並べると上から下へ帯が縮まる正しい漏斗形状になる
- 挿入手順:「挿入」タブ→「ウォーターフォール、じょうご、株価グラフ…の挿入」→「じょうご」の順で操作する
- 実務活用:営業パイプライン・採用フロー・Webコンバージョン分析・製造工程管理など、段階的な絞り込みが発生するあらゆるプロセスに応用できる
- カスタマイズ:データラベルの追加・系列色の変更・補助列を活用したパーセンテージ表示など、用途に応じて見た目を調整する
- MOS試験との関連:一般レベル(MO-210)「グラフの管理」領域で挿入・編集・書式設定の操作が確認ポイント。挿入先ボタンの場所を事前に把握しておく
漏斗グラフを使いこなすと、「どのステージで案件が滞っているか」「採用フローのどこを改善すべきか」といった問いに対してデータで答えられるようになります。まず手元の業務データで2列の表を作り、じょうごグラフを挿入して絞り込みの可視化を試してみてください。
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MOS Excel 365 一般レベル(MO-210)に対応した公式試験対策テキスト。漏斗グラフをはじめとするグラフ管理・テーブル・関数・ピボットテーブルまで試験範囲を網羅した模擬問題で実力を固めたい方に最適です。
▶ 受験料の最新情報は公式サイトの「受験料・価格」(https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html)でご確認ください。
