ビジネス文書や論文を作成していると、©(著作権)・™(商標)・®(登録商標)・→(矢印)・℃(摂氏)・μ(マイクロ)といった記号を入力したい場面が多くあります。IMEで変換できないケースや、環境依存文字を避けたい場合に、Wordの「記号と特殊文字」機能を使うと文字化けリスクなく正確に挿入できます。
本記事では、記号の挿入ダイアログの基本操作から、特殊文字タブの使い方、文字コード直接指定、ショートカットキーへの割り当て、オートコレクトへの登録まで体系的に解説します。MOS Word 365試験(MO-100)の出題ポイントとチェックリストも付けています。
「記号と特殊文字」ダイアログを開く手順
Wordでは「挿入」タブから記号と特殊文字の挿入ダイアログを呼び出せます。
- 記号を挿入したい位置にカーソルを置く
- 「挿入」タブ→「記号と特殊文字」グループの「記号と特殊文字」ボタンをクリックする
- ドロップダウンに最近使用した記号が最大20個表示される
- 目的の記号がなければ「その他の記号」をクリックして全体のダイアログを開く
「記号と特殊文字」ダイアログには「記号」タブと「特殊文字」タブの2つがあります。それぞれ用途が異なるため、使い分けを理解しておくことが重要です。
| タブ | 内容 | 代表例 |
|---|---|---|
| 記号 | フォントに含まれるあらゆる文字・記号・絵文字 | ©、™、→、μ、α、♪、☆ |
| 特殊文字 | Wordが特別な意味で扱う空白・ハイフン・スペース等 | ノーブレークスペース、長ダッシュ、ソフトハイフン |
「記号」タブで記号を挿入する
フォントとサブセットを選択する
「記号」タブではフォントとサブセット(文字の種類グループ)を選択して、目的の記号を探します。
| フォント | 特徴 | よく使う記号の例 |
|---|---|---|
| (現在のフォント) | 本文で使っているフォントの文字セット | ©、™、®、°、±、×、÷ |
| Symbol | ギリシャ文字・数学記号が豊富 | α、β、γ、∑、∞、≤、≥ |
| Wingdings | 矢印・手・チェックマーク等の装飾記号 | ✓、✗、☎、✉、▶ |
| Webdings | Web・交通・道路標識的なアイコン | ☺、☼、♠、♦ |
| Segoe UI Symbol | Unicodeの各種記号・絵文字に対応 | →、←、↑、★、♫ |
サブセットドロップダウンを使うと、「ラテン文字拡張」「数学演算子」「矢印」「囲み文字」などのカテゴリで絞り込めます。記号の一覧が多くて目的のものが見つからない場合は、サブセットで絞るか文字コードで直接指定するのが効率的です。
文字コード(Unicode)で直接指定する
記号の Unicode コードポイントが分かっている場合は、ダイアログ下部の「文字コード」フィールドに直接入力して絞り込めます。
| 記号 | 名称 | Unicode(16進数) |
|---|---|---|
| © | 著作権記号 | 00A9 |
| ® | 登録商標記号 | 00AE |
| ™ | 商標記号 | 2122 |
| ° | 度記号 | 00B0 |
| ℃ | 摂氏温度記号 | 2103 |
| → | 右矢印 | 2192 |
| ← | 左矢印 | 2190 |
| ↑ | 上矢印 | 2191 |
| ↓ | 下矢印 | 2193 |
| × | 乗算記号 | 00D7 |
| ÷ | 除算記号 | 00F7 |
| μ | 小文字ミュー(マイクロ) | 03BC |
| α | 小文字アルファ | 03B1 |
| β | 小文字ベータ | 03B2 |
| ∞ | 無限大 | 221E |
| ± | プラスマイナス | 00B1 |
「文字コードの取得元」が「Unicode(16進)」になっていることを確認してからコードを入力してください。「記号(10進)」「ASCII(10進)」「ASCII(16進)」など別の形式が選ばれていると、同じ数字でも異なる文字が選択されます。
Alt + 文字コードで本文に直接入力する(Unicode直接入力)
ダイアログを開かなくても、Unicodeコードポイントを本文に直接入力して変換できます。
- 本文に Unicode コードポイントを半角で入力する(例: 00A9)
- 入力直後に Alt+X を押す
- コードポイントが対応する記号(©)に変換される
この方法はダイアログを開く手間が省けるため、使用頻度の高い記号に慣れてからは最速の入力方法です。逆に、記号が入力された状態でカーソルを記号の直後に置いて Alt+X を押すと、記号がコードポイントに変換されます(コードポイントの確認に使えます)。
「特殊文字」タブで特殊な空白とハイフンを挿入する
「特殊文字」タブには、見た目では区別しにくいが文書レイアウトに大きく影響する特殊な文字が登録されています。
| 特殊文字名 | Unicode | 用途・特徴 | 既定ショートカット |
|---|---|---|---|
| 長ダッシュ(Em Dash) | 2014 | 文中の補足・区切りに使う長い横棒(—) | Alt+Ctrl+テンキーのマイナス |
| 短ダッシュ(En Dash) | 2013 | 数値範囲の表示(10~20 など)で使う中程度の横棒(–) | Ctrl+テンキーのマイナス |
| 任意指定ハイフン | 00AD | 単語の途中に入れておくと行末でのみ改行する(ソフトハイフン) | Ctrl+ハイフン |
| 改行なしハイフン | 2011 | ハイフンの前後で改行されない(電話番号・品番のハイフン) | Ctrl+Shift+ハイフン |
| 改行なしスペース | 00A0 | このスペースをまたいで改行されない(単位と数値を同一行に保つ) | Ctrl+Shift+Space |
| 省略記号(…) | 2026 | 3点リーダー(3つの点がひとつの文字として扱われる) | Alt+Ctrl+ピリオド |
| 著作権記号(©) | 00A9 | コピーライト表示 | Alt+Ctrl+C |
| 登録商標記号(®) | 00AE | Registered trademark | Alt+Ctrl+R |
| 商標記号(™) | 2122 | Trademark | Alt+Ctrl+T |
「改行なしスペース」(Ctrl+Shift+Space)は、「50 ㎡」「3 月」のように数値と単位・数値と月名を同じ行に表示したい場合に特に役立ちます。通常のスペースでは行末で改行されてしまうことがありますが、改行なしスペースを使うと必ず同一行に保たれます。
記号にショートカットキーを割り当てる
「記号と特殊文字」ダイアログで特定の記号を選択すると、ダイアログ下部に「ショートカットキー」ボタンが表示されます。このボタンから独自のショートカットキーを割り当てることができます。
- 「記号と特殊文字」ダイアログを開き、ショートカットを割り当てたい記号を選択する
- ダイアログ下部の「ショートカットキー」ボタンをクリックする
- 「キーボードのユーザー設定」ダイアログが開く
- 「新しいショートカットキー」フィールドにカーソルを置き、割り当てたいキーの組み合わせを実際に押す(例:Ctrl+Alt+C)
- 「現在の割り当て」欄に「割り当てなし」と表示されていることを確認する(既存のコマンドと衝突しないかチェック)
- 「割り当て」ボタンをクリックする
- 「閉じる」→「挿入」ダイアログを閉じる
「変更の保存先」を「Normal.dotm」にすると全文書で使えるショートカットになります。特定のテンプレートのみで使いたい場合は、そのテンプレートを選択してください。割り当てたショートカットキーは「キーボードのユーザー設定」ダイアログで削除できます。
オートコレクトに記号を登録する
よく使う記号は、テキスト入力で自動変換されるようにオートコレクトへ登録しておくと便利です。想定例として、「(c)」と入力したら自動的に「©」に変換されるように設定できます。
- 「記号と特殊文字」ダイアログを開き、登録したい記号(例:©)を選択する
- ダイアログ下部の「オートコレクト」ボタンをクリックする
- 「オートコレクト」ダイアログの「修正後の文字列」欄に選択した記号が入力された状態で開く
- 「修正する文字列」欄に変換元の入力テキスト(例:(c))を入力する
- 「追加」→「OK」をクリックする
Wordには既定でいくつかの記号オートコレクトが登録されています。
| 入力テキスト | 変換後の記号 | 既定の有無 |
|---|---|---|
| (c) | © | 既定で登録済み |
| (r) | ® | 既定で登録済み |
| (tm) | ™ | 既定で登録済み |
| –> | → | 既定で登録済み |
| <– | ← | 既定で登録済み |
| … | …(省略記号) | 既定で登録済み(設定による) |
オートコレクトが意図しないタイミングで変換されて困る場合は、変換直後に Ctrl+Z で元に戻すか、「ファイル」→「オプション」→「文章校正」→「オートコレクトのオプション」で個別の登録を削除または無効にできます。
最近使用した記号をすばやく再挿入する
「挿入」タブ→「記号と特殊文字」ドロップダウンには、最近挿入した記号が最大20個表示されます。同じ記号を繰り返し使う作業では、ダイアログを開かずにここから選択するのが最も速い方法です。
なお、最近使用した記号の表示リストはWordの記録であり、ユーザーが手動で削除することはできません。新しい記号を挿入するたびに古いものが自動的に押し出されます。
MOS Word 365試験(MO-100)での出題ポイント
記号と特殊文字の挿入は、MOS Word 365(MO-100)の「グラフィック要素を挿入する・書式設定する」および「文字、段落、セクションの書式設定」に関連する出題範囲に含まれます。分野別の出題数・配点は公表されていません。以下のチェックリストを実際のWordで操作して確認しておきましょう。
| 操作 | 手順のポイント | 確認 |
|---|---|---|
| 記号と特殊文字ダイアログを開く | 「挿入」タブ→「記号と特殊文字」→「その他の記号」 | □ |
| フォントとサブセットを選択して記号を挿入する | 「記号」タブでフォント(例:Wingdings)とサブセットを選択→「挿入」 | □ |
| 文字コードで記号を絞り込んで挿入する | 「文字コード」フィールドにUnicodeコードポイントを入力→「挿入」 | □ |
| 特殊文字タブから改行なしスペースを挿入する | 「特殊文字」タブ→「改行なしスペース」を選択→「挿入」 | □ |
| 特殊文字タブから長ダッシュを挿入する | 「特殊文字」タブ→「長ダッシュ」を選択→「挿入」 | □ |
| 記号にショートカットキーを割り当てる | 記号を選択→「ショートカットキー」ボタン→キーを押して「割り当て」 | □ |
| オートコレクトに記号を登録する | 記号を選択→「オートコレクト」ボタン→修正する文字列を入力→「追加」 | □ |
試験本番でつまずきやすいポイント
- 「挿入」後の「閉じる」混同:ダイアログの「挿入」ボタンを押しても記号が挿入されるだけでダイアログは閉じない。終わったら必ず「閉じる」を押す
- フォントの違いによる外観の変化:同じ Unicode コードポイントでも選択しているフォントによってデザインが変わる。試験の指示通りのフォントを選ぶこと
- 「文字コードの取得元」の設定:「Unicode(16進)」を選択しないと、コードポイントを入力しても目的の記号が表示されない
- ショートカット割り当ての保存先:「Normal.dotm」に保存すると全文書に影響する。試験環境では確認してから操作すること
- 特殊文字と記号の切り替え:「記号」タブと「特殊文字」タブを混同しないこと。長ダッシュ・改行なしスペースは「特殊文字」タブにある
MOS Word 365試験の基本情報
MOS Word 365(MO-100)の試験時間は50分で、採点は1000点満点です。合格点は公開されていません(550点~850点が目安と言われていますが公式発表ではありません)。合格率は公表されていません。
試験は5個~10個のプロジェクトで構成され、各プロジェクトに複数の小問が含まれるマルチプロジェクト形式です。学習時間の目安として、初学者は40~60時間(1日1時間のペースで約2か月)、日常業務でWordを使っている方は20~30時間(3~4週間)が一般的です。
受験料は一般価格と学割価格の2種類があり、いずれも税込です。最新の受験料は公式サイトの「受験料・価格」(https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html)でご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Alt+数字で記号を入力する方法はWordでも使えますか?
Windowsでは Alt+テンキーの数字で文字コード(ASCII / Unicode)を入力する方法があります。ただし、使用する数字の形式(10進数・16進数)はWindowsの「regedit」設定によって異なり、Wordでは Alt+X による Unicode 直接入力の方が確実です。日常業務では「オートコレクト」やショートカットキー割り当てを使う方が安定しています。
挿入した記号が □(豆腐文字)で表示されます
使用しているフォントが挿入した文字に対応していない場合に□が表示されます。記号を挿入した後、その記号のフォントを「Segoe UI Symbol」「Arial Unicode MS」などの多言語対応フォントに変更すると正しく表示されます。また、特定のフォントがインストールされていない環境(他のPCや印刷環境)では表示が崩れることがあるため、PDFに書き出して配布する方法が安全です。
©、®、™ の記号を文書中で上付き・小さく表示したい
©、®、™ は通常の行高さで表示されます。上付きにしたい場合は、記号を選択して「ホーム」タブ→「フォント」グループの「上付き」(Ctrl+Shift++)を適用してください。フォントサイズを小さくする方法でも対応できます。
改行なしスペースを通常のスペースに一括変換したい
「ホーム」タブ→「検索と置換」(Ctrl+H)で、「検索する文字列」に「^s」(改行なしスペースを表すワイルドカード)を入力し、「置換後の文字列」に通常の半角スペースを入力して「すべて置換」を実行します。文書全体の改行なしスペースを一括で通常スペースに置き換えられます。
Wingdings の記号を印刷すると番号に化けます
フォントが正しく埋め込まれていないPDFや、受取側の環境に Wingdings がインストールされていない場合に起こる一般的なつまずきです。重要な記号を使う文書は「名前を付けて保存」でPDFに書き出す際に「フォントを埋め込む」オプションを有効にするか、Unicode 互換フォント(Segoe UI Symbol 等)の対応記号に差し替えることをおすすめします。
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MOS Word 365(MO-100)の出題範囲を完全網羅した公式対応テキスト。記号と特殊文字の挿入をはじめ、スタイル・セクション・参照機能まで実際の試験形式で演習できます。短期合格を目指す方に最適です。
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記号と特殊文字の挿入から書式設定・スタイル・差し込み印刷まで、スクリーンショット付きで丁寧に解説。MOS試験の準備だけでなく、日常のWord業務でそのまま使える操作を体系的に習得できます。
まとめ:記号と特殊文字をWordで使いこなして文書品質を高める
Wordの「記号と特殊文字」機能を使うと、IMEで変換できない©・™・μ・∞などの記号を文字化けなく正確に挿入できます。「記号」タブではフォント・サブセット・文字コード指定で目的の記号を探し、「特殊文字」タブでは改行なしスペースや長ダッシュなどのレイアウト制御文字を挿入できます。
使用頻度の高い記号には Alt+X によるUnicode直接入力、ショートカットキーの割り当て、オートコレクト登録のいずれかを組み合わせると、ダイアログを開かずに素早く入力できます。MOS Word 365試験(MO-100)では記号の挿入と特殊文字の挿入のどちらも操作できるよう、チェックリストを使って実機で練習しておきましょう。
記号と特殊文字を使いこなして、Wordでの文書作成の表現力と正確性をさらに高めていきましょう。
